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波がさらに上がってきました。

南南西うねりは闘牛で頭、そしてホワイトハウスで5フィートサイズ。

5フィートというと軽くダブルはあり、波の圧力もさることながら海のパワーに畏怖する。

ホワイトハウスのピークはこんな感じで、底掘れ伝説波がここにある。



このマーク・ホワイトは還暦を超える大先輩なんだけど、今日もショートボードでホワイトハウス波を征服している。

細い足腰、だが技術と経験で際どい波に魔術のようにひらりと乗ります。

彼のサーフィングから学ぶことは多い。

「昨日ピークでダックダイブ(ドルフィンスルー)したら新品のボードが真っ二つになったんだ」

と今朝会ったらこのホワイトハウス波の重量を伝えてきた。

こんな波じゃあ、どんなボードでも折れますよね。



ここで一本思いきりリップから飛ばされた、と昨日書きましたが、今日はそのリベンジセッション。

セット波が入った。
数は5本?

昨日の2〜3本セットから増えている。

波の位置は海底から沸きあがるボイル(泡)とリーフの亀裂でわかるので、このセットに見合う沖のその位置まで移動するが、岸に向かう流れがやたら強く、いくら漕いでも前には出ずに同じ位置をキープするだけだった。

このまま進んでも喰らっちゃいそうなので、チャンネル方向(左)に逃げる。
すると、すーっと流れはじめる。

リーフブレイクの波間はいつも不思議です。

2本目をやりすごし、そこから一気にピークに入る。

ピーク付近にマークがいて、5本目狙いの彼は俺に4本目、つまり目の前にある波壁に「GO−GO!!」と叫ぶ。

「SURE!!」

と叫び返し、ピークのこぶとリーフ位置が合った場所でノーズを岸に向ける。

左右にぶれないように全速力パドルの開始だ。
全速でないと、リップまで持ち上げられ、ひどい目に遭うことを体で知っているので、この2ヶ月で一番真剣に漕いだ。

こんなときガンタイプのボードは速く、海面の凹凸を細いノーズでかき分けてくれるのでうれしい。

ボードが全速になって、次に波が追いついてきた。

その後、一瞬全てが止まった気がして、そしてノーズから波に吸い込まれるように落ちていく。

右側のレイルを入れ、スピードが上がり、レイルが浮き上がってテイル側だけ波壁に噛んだところで、さらに壁側に体重をかけて波に張りついた。

こうしないと、というか真っ直ぐ降りちゃうと、ボトムでリップに爆撃されるので波内部に留まるようにする。

右腕を波の中に深く入れ、ストールさせる。
これで姿勢と速度を安定させ、視界がまん丸のバレル景になるのを待つ。

しかし、この波は掘れすぎてバレルにはならず、きっと俺は大きな弧の斜面を滑っていたのだろう。

斜面の硬さが変わったようで、後ろから押されるようにまた加速する。

ここまでくればもう安心だ。

そのままセカンドセクションを「棒立ち・矢吹ジョーの両手ブラリ戦法」よろしく走り
ぬけ、最後のセクションで大きなカービングカットバックでホワイトウオーターに突っ込み、グルグルに巻かれて浮かび上がると、次の波にマークが乗っていた。

俺は右腕を上げ、ハングルーズサインを出すと、マークも満面の笑みで同サイン。

不思議なもので、こんな極限の波を分かち合うとこころが通じあうようで、お互い何も言わなくても彼のその波滑走のヨロコビが伝わってきた。

それから彼が行ったフィジーの波の話をして、15フィートのクラウドブレイクだったら、ハワイトハウスの4フィートの方が危険であるとか、昔から変わらないこの波のこと等々、興味深い話が聞けた。

こんな波の日でないとこういった話題にはならないもので、それは完全に俺に吸い込まれるように理解した。

波はサイズではない、ということでした。

海から上がって、ノアをスケートボード・パークに連れて行くと、彼の友だちがいっぱい来ていた。



左からノア、キャゥイー、トーファー、ジョナサン、アッシャーのスケートキッズです。

なんでもスティーブ・キャバレロが彼らに稽古を付けてくれているそうで、それでみんな集まっていたのですね。

明日カメラを持って彼の今を撮ってきますね。

去年のクリスチャン・ホソイに引き続き、この夏はキャバレロかあ。

アメリカのプロたちはこうして低年層の指導に廻っているのですね。

すばらしい!
と、感動していると、カイル・マリグロから電話があった。

ホワイトハウスのコンディションを伝えると「ブラウンハウスだ!イエィ!」とそのシークレットに行くと言う。

でもあそこは岩だらけで、こんな日に行ったら大変なのでは?
と思うのだが、まあカイルだからきっと大丈夫だろう。

闘牛岬に行ったフレディから「オーバーヘッド最高だぁ!」電話があった。

ん?オーバーヘッド?ホワイトハウスはその倍は軽くあってすごかったよ。

と言うと、「あそこでやったのか!ひゃあ怖い怖い...」と謙遜していた。

明日の波はどうなるのだろうか?

と波ばかり気になっているが、しっかりこうして仕事場に戻り、dictionaryのNAKISURF広告デザイン、壁紙3種、サーファーマガジン用の写真編集中です。
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極限の波
まるで自分が体験したかのように
ドッキドキで読ませて頂きましたぁ~!
(≧ε≦)
リリカル 2008/07/18(Fri)17:39:49 編集
スゴッ!!
いつも思いますが、実体験にもとずくサーフィン話は凄いです。

息を止めて読んでいる自分がいます。

しかし、ホワイトハウスってなんなの??

凄過ぎにて想像を超えています。

明日の湘南は期待はずれの噂ありです。

悲しい週末・・・
Pedro45 2008/07/18(Fri)17:50:15 編集
相似
マーク. ホワイトさんは、ヘミングウェイの「老人と海」を思わせる方であり、ホワイトハウス波は、「力石 徹」なのですね...。
関連性が全くあり得ないはずなのに、同じ場所、同じ時に存在する不思議な時間を共有させて頂きました。
しかし、スゴ過ぎます...。
FREEBIRD 2008/07/18(Fri)21:47:56 編集
現存主義者たちの冒険
ドッキドキでしたね。
実体験もぜひです。

現場主義者で忘れっぽいので、こうして乗ってすぐに書くと色々なことを覚えていて、それが文章に乗っかってきます。
鼓動と微熱ですね。
台風は日本海側に入り込みそうです。
オンショアで波が立つのではないでしょうか?

その通り、「老人と海」の主人公みたいな人です。
5本目を読むのも、一番水深があるからだとか、様々なエンスーな事項をより分けているお人です。
2ヶ月ぶりのサイズだそうで、旅に出ていなくて良かった、という感謝です。

ふなき 2008/07/19(Sat)02:37:44 編集
無題
その情景がリアルに脳内イメージで伝わります。

波乗りはできないけど、この文章から波の豪快さが伝わってきます。
パドルして波に乗るという一連の動作、体に残っている感覚から離れないようにしていたいです。

気付かされること、学ぶことが多い内容でした。
波々と感謝します!

やざわ 2008/07/19(Sat)12:28:22 編集
ALOHA&MANA
こちらは波々しているので、全身塩水に浸かってしまい、陸で水抜きしている状態です。
もうすぐ海に戻れそうですね。
ブドウなんとか菌って怖いのですね。
知らなかった。。。
では海開きはイナリーズかホワイトハウスで大々的にやりましょう!

ふなき 2008/07/19(Sat)15:56:20 編集
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プロフィール
名前:Naki 2009 または船木三秀
HP:NAKISURF
性別:男性
職業:専門職
趣味:海
自己紹介:
 11年暮らしたカリフォルニアからノースハワイ島に住みかえ、毎日クオリティの高い波で波乗りをしています。

 私は波乗り殉教者で、肩書きはプロサーファー、写真家、画家、ルポライター、デザイナーです。

 風が創ったさざ波が合わさり、遠くの洋(うみ)から陽の下、夜の中を駈けてきたうねりに乗る、というような気持ちで波に接している。
 その欲求と探求心は飽くことがないようで、小さい頃からの夢であった世界の海を旅し、自分なりのアウトプットを続けています。

 波を知ることは海を知ること。その深遠無限のインスピレーションを感じ、ゆらゆらと絡まった日々をこのブログで綴れたらなあ、と。

 そんな波乗りの奥深さ、その意識や感覚を文章、写真、絵で表現できたらと思っています。

 同業の方、同じ夢の方、海が好きな方、波乗りを愛する方、この場でお話しましょう。

 ありきたりの道具論に留まらないメッセージをみなさまと創ってみたいのです。

 また、カリフォルニア州、サンクレメンテ発のサーフショップ『NAKISURF.COM』も運営しております。

 こちらは長年培ったサーフ業界のコネクションを活かし、世界で一番誇れるWEB STOREを目指しておりますので、どうぞご覧になってください!

ぜひ!

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