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nakisurf ナキサーフ
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昨日から天気が悪く、暗い朝となっている。

吹きこむ風が南南西から、しかもかなり強くなる。

30ノット程度だろうか。
これだけ吹いたら波よりも風のスポーツ、ウインドやカイトサーフィンはすごいことになっているのだろうな、とマウイの友子さんに電話をすると、「吹きすぎて、ゲレンデはジャンクよー。これじゃできないなあ」だって。

なんでもほどほどがよろしいようです。

でも夜明け前は一瞬弱いオフショアとなる。
それを見計らって夜明け前からイナリーズに行っているのだが、昨日から少し気分が乗らない。

つまりあまり海が輝いて見えない。

海は暗く、波も悪そうで、風は寒い。
普段は雲を見ると、あれはマナティ、これは鳥、ピカチュー、パンダとやっているんだけど、今日は何も想像できない。



だから海に入っていても気分がすぐれず、盛り上がれず、何かに襲われる恐怖を持っていた。

暗い影を見ると、鮫?と目を凝らしていた。

(ちなみにここは鮫のメッカで、毎年何かしらのシャークアタックが起きている場所である)



そんな状況だから、海に入るのを止めておけばいいのに、沖に泳ぎでて、純粋な夜明け色のバレル写真を



撮っていたら、

「グワー!!」

と悲鳴に似た獣の叫び声。

すわっ、アザラシが鮫に襲われて断末魔の声を発したのか!?

と緊張しながら岸に泳ぎ始めると、20m沖に大きな鯨がザッバーンと現れた。

ああ、鯨だったんだ。
と安堵し、そのまま海に残り、しばしホエールウオッチング。

良かった良かった、と写真を撮ったのがこれ。



でね、帰ってきたらカイル・マリグロから電話で、「お前今日も海に行ったのか?TVニュース見たか?ハウジングでサーファーが襲われたよ」だって。

ハウジングはイナリーズのお隣ビーチで、簡単に言うと、3kmの差でしかない。
鮫はきっとイナリーズを泳いでいたはずだ。

それを感じて俺の気が滅入っていたのだと思う。

鯨は鮫が苦手、とすると逆もありえるはずだ。
もしかしたらこの鯨が俺を守ってくれたのかも、今日の作品をRAW現像しながら考えていた。

もっと直感を大事にしなくてはなあ、と思い知らされました。


さて、昨日お知らせした。
新春特別企画#2です。

読者からコラムがメイルされてきました。
日本のローカリズム問題がチラホラ。
完結まで毎日連載します。

なお、掲載者には私の命がけで撮った波写真をプレゼントします。
ブルース・カイパンさんは住所をメイルしてきてください。
ノースハワイの消印を添えて郵送します。

ではぜひ!
***************************************


シュガートーストブルース

byブルース・カイパン


健一郎がさえない顔をしているのにはワケがあった。

数日前の某リーフポイント、ここ数日20度線あたりで彷徨(さまよ)っている台風からの恩恵で、彼は胸-肩サイズのファンウェイブを楽しんでいた。

サーファーもさほど多くなく、平日の午後、慌ただしい社会から完全に隔離されたこの場所で、残り少なくなったトランクスデーを満喫するには充分すぎるほどの穏やかな日、そこにいるサーファー全員がそう感じていたに違いない。

しばらくすると、完全に海外波乗りDVDに影響されていると思われる、トランクスからケツが半分以上露出している見慣れない若者サーファー数人が入ってきて、そのうちの一人に健一郎はドロップインされた。しかし、その平和な雰囲気を壊すのは嫌だったので、彼に向か�って軽く牽制するだけにとどめておいた。

健一郎に睨まれたのが気に入らなかったのか、彼は健一郎がテイクオフしようとした恐らくその日一番の波を、健一郎の目を見ながら再度ドロップインしてきた。

このポイントでサーフするようになって6年、まだまだ『The Day』にはピークに行く事すらできないが、このリーフを愛するローカルサーファーとして許される行為ではなかった。

『ローカリズム』という言葉をはき違えた、我が者顔の一部の連中のバイオレンスな行為が一番嫌いな健一郎であったが、「今、この状況は違う」と自分に言い聞かせて若者をパンチアウトした。

もちろん、インサイドで若者に向かって口頭で注意したが、鼻で笑うような態度をとられた末の行為である。
右の拳が痛かった。

もう一度パドルアウトしようとしたが、拳の痛みとアウトに険悪な空気を持って帰るのに気が引けたので、そのまま岸にあがった。

車に戻ると、その一部始終を見ていた友人の泰二がニヤニヤしながらこう言った。
「ヤバイぜ〜、健ちゃん。今殴った奴、ブルックスサーフの若い奴じゃん。あそこのオーナーの山内さん、身内のゴタゴタには必ず顔ツッコムからさぁ、やっかいな事になんなきゃいいけど….」

ブルックスサーフのオーナーがどういう人物かなんて泰二に言われなくてもわかっていた。
このポイントでいうとパイオニアの次の世代、もうかれこれ30年近くこのリーフでサーフしていて、パイオニア世代がいない今、年代的にも経験的にも誰も彼に逆らえるものはいない。

ショップに通う連中は彼が黒といえば黒、白と言えば白。というくらいの独裁者的な存在で、とにかく「縦」のラインを大事にする人だった。

この辺一帯でサーフするなら山内の所にいるのが一番無難なのだが、健一郎はブルックスサーフのその「縦社会」が嫌いで、ブルックスサーフから枝分かれした、枝分かれというと聞こえはイイが、実際は目の敵にされている先輩の経営する小さなショップに所属していた。

当然、こんな時に頼りになる先輩ではないのはわかっていたし、巻き込むのも嫌だったので、健一郎は一人でどうにかする方法はないものか?と夕飯を食べながら考えていた。

山内の取り巻き達に囲まれた自分を想像して、箸を持つ手が震えていた。

(明日へ続く)
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ホノルルに行ってきた。
たった15時間の滞在だったけど、有意義な時間でした。

あっくん、手塚さん、ありがとうございました。

空港で聴いていたアイポッドの電源が一度なくなり、予備のシャッフルを取り出すと、そこからニール・ヤングのやさしい歌声が流れてきた。

すごくよかったので、訳してみることにした。
歌詞が胸に染みました。

Heart of Gold

I wanna live, I wanna give
I've been a miner for a heart of gold
It's these expressions I never give
That keep me searching for a heart of gold
And I'm getting old
Keep me searching for a heart of gold
And I'm getting old

I've been to Hollywood I've been to Redwood
I crossed the ocean for a heart of gold
I've been in my mind, it's such a fine line
That keeps me searching for a heart of gold
And I'm getting old
Keeps me searching for a heart of gold
And I'm getting old

Keep me searching
for a heart of gold
You keep me searching
for a heart of gold
And I'm getting old
I've been a miner
for a heart of gold

生きたい、与えたい
やさしいこころをさがしている
口にださないが
やさしいこころを求め続ける
そして年をとっていく

ハリウッドに行ったことがある
レッドウッドにも行ったことがある
やさしいこころを求めて海を渡った
こういうすばらしい言葉のせいだと思う
やさしい心を求め続け
そして年をとって行く

君を探し、こころを求めている
やさしいこころを探し続ける
君がいるからやさしいこころを求め続ける
そして年をとっていく
真のこころをさがしている

 ある夜、波乗りが大好きな男の子が留守番をしていました。

 外は雪の寒い夜でしたが、部屋の中は暖炉(だんろ)の火が赤々と燃え、とてもあたたかでした。

 男の子はエディー・アイカウが波に乗る絵を描いていました。

 すると、どこも閉まっているはずなのに、ピューッと冷たい風が入ってきて、部屋いっばいに霧が広がりました。

 男の子は少し怖くなって、暖炉の火のそばへ行きましたが、ふと、うしろをふりかえってビックリ。

 霧の中には、サーフワックスを持った男の人が見えたのです。

 隣には、赤ちゃんを抱いている女の人もいます。
 赤ちゃんは、大きな声で泣いています。

 きっと男の人はお父さんで、女の人はお母さんなのでしょう。

 女の人は、赤ちゃんをあやしながら言いました。

「おお、よしよし。今お父さんが、コンテストで賞金をかせいでくるからね。そうしたらお医者さまにかかれるからもう少しの辛抱だよ」

 お父さんは、ワックスを暖炉の火で温めました。

 火の中に手を入れても平気な様子からして、多分、男の人も女の人も、それに赤ちゃんも不思議世界の人たちなのでしょう。



 ワックスが温まると、お父さんはそれをボードに塗りたくり、海に出て行きました。

 すると、そこはパイプラインで、お父さんはデビッド・ヌヒワよりもジェリー・ロペスよりも大きくて深い波に乗って、バレルをどんどんメイクして、賞金の小切手を大きく掲げ、お医者さんを連れて帰ってきました。



 お医者さんは名医らしく、赤ちゃんの体に手を当てると、泣いていた赤ちゃんの泣き声がピタリとやみ、今度はうれしそうに笑い出したのです。

「ああ、よかったね。お病気が治ったね」

  不思議世界のお父さんとお母さんは、ニッコリとほほえみました。

 そのとたん、その人たちは消え、霧も晴れ、何もなかったように元の部屋に戻ったのです。

 男の子は目をパチクリさせて、頭を振りました。

「もしかしたら、今のは夢だったのかな?あっ、これは!」

 男の子の目の前に、さっき不思議世界でお父さんが使っていたワックスが置いてありました。

 男の子は、そのワックスを引き出しの奥に隠しておきました。

 やがて、男の子は若者となり、サーフィンコンテストに出るようになりました。

 あるとき、大事な試合で、若者は隠しておいた不思議世界のワックスを使ってみました。

 すると、たちまち倍速スピード、どんな技をかけても転びません。気が付くと優勝していました。
 友だちはおどろき、そのワックスのことをサーフィンクラブの人たちに話しました。

 それからというもの、みんなは重要な試合や大きい波の時には若者のところへ来るようになりました。

 となると、コンテストで勝つことはもう不可能です。

 若者は結婚して、暮らしが貧しく大変になっても、
 「これは、 不思議世界の人からもらったものだから」

 と、村の人たちからお金を取ることはしなかったのです。

 そうして、いつでも具合の悪い人がいればこのワックスを塗ってあげました。

 ありがたいことに、このワックスは毎日たくさん使っているのに、ちっとも減りませんでした。

 若者と奥さんは、村の人たちからとても感謝され、大事にされていました。

 けれどもある日、ワックスは盗まれてしまいました。

 その効能のすばらしさに目を丸くした泥棒は、これで一儲けしようと企んだのです。

 「このワックスを使えば、すぐに金持ちになるだろうな」

 不思議ワックスを塗って波に乗ることをおぼえたサーファーたちは、もうこれなしでは波に乗れません。

 ワックスを使うためには泥棒の言う通りにするしかないので、たくさんのお金を払いました。
 そのお金のためには恐喝、窃盗、強盗となんでもやったので、そんなサーファーたちはやがて警察に捕まり、牢屋に入れられてしまいました。

 泥棒はお金持ちになりました。
 
 けれども泥棒が使うようになってからは、ワックスが減るようになったのです。

 泥棒が、残り少なくなってきたワックスを自分に塗ろうとしたら、手からころころと崖の下に落ちていってしまいました。

 泥棒は崖を命からがら降りて行き、落ちた辺りを這いつくばって探したのですが見つかりません。

 やがて夕方となり、暗くなってきたので泥棒は懐中電灯を取ってこようと家に戻る途中で酔っぱらい運転のダンプに追突され、死んでしまいました。

 それから何十年も経って、若者がおじさんになって、海の上に浮いているワックスを見つけ、ノーズにさっと塗ってみると、昔の魔法が戻ってきました。

 おじさんになった若者は、ものすごいサーフィンをして、廻りの人を驚かせました。

 そのワックスは小さかったけど、いくら使っても減りません。

 おじさんに子供が生まれ、その子の名前をケリーと付けました。

 ケリーは、世界チャンピオンを7回取った腕前ですが、お父さんの教訓からこのワックスを使っていることは、心許せる友人だけが知っています。





All photos by ©Kenboku2006



 むかしむかし、相州の浜前に、サーフボードを削って乗る主人と、波乗りをするおかみさんだけでやっている、小さなサーフショップがありました。

 この夫婦は、特別に金持ちではありませんが、毎日の波と乗るボードには不自由せず、健康にもめぐまれて、幸せにくらしていました。

 ある日の夕方ふたりで仲良く波乗りをしていると、 かっこいいプロサーファーとそのガールフレンドが黒のAvisoと、EPSクアッドに乗って、ふたりの目の前でバックサイドエアと、波の後ろからフィンまで飛び出るカービングリエントリーを決めました。

 それを見て、おかみさんが言いました。

「あの人たちみたいに、わたしも一度でいいから、すてきなEPSのクアッドフィンに乗り、アストロデッキを貼って、ターンをしてみたいものだわ」

 すると、主人も言いました。
「そうだな。何をするのにも、あの軽い中空カーボンファイバーならきっとエアが出来るし、目立つし、かっこよくいばっていられたら、もう言うことはないさ」

 このおかみさんはスタイルがよく、目のパッチリとした美人でした。

「ねえ、おまえさん。わたしがEPSに乗ってなぜいけないのさ」

「そりゃ、いけないっていうことはないさ。ただエポキシ樹脂の扱いがわからないだけなんだ。そんなこと言うのなら、俺だって毎日、あんな大変なシェイプをやめて楽しく暮らしたいさ」

 こんなことを言っているうちに、二人には自分たちの生活が、急にみすぼらしく見えてきたのです。

 それからというもの家の前でサーフィンをするプロサーファーを見るたびに、うらやましい気持ちがおこり、とたんに自分たちには、苦労ばかりしかないように思われてきたのです。

 おかみさんは、ため息をつきながらつぶやきました。
「こういう時に仙女がいてくれたらねえ。仙女が魔法のつえをひとふりすれば、たちまち願いがかなうっていうのはどうだい?」

 こう言ったとたん、家の中にサッと光のようなものがさしこんだのです。

 二人はおどろいて、ふりかえってみたのですが、誰もいません。

 しかし、家の中には、たしかに人の気配を感じるのでした。

「なんだか、気味が悪いね」
 二人が顔を見あわせていると、そこへスーッと、女の人があらわれたのです。

「あなたたちの話は、みんな聞きました。もう、不平をいう必要はありません。願いごとを三つ、口でとなえなさい。注意をしておきますが、三つだけですよ」

 仙女はそれだけいうと、スーッと消えました。

 主人とおかみさんは、しばらくポカンと口をあけたままでしたが、やがて主人が、ハッとしていいました。

「おいおい、おまえ、聞いたかい!」

「ええ、たしかに聞きました。三つだけ、願いがかなうって」

 二人はおどろいていましたが、だんだんうれしさがこみあげてきました。

「えへヘ、 願いごとは三つだけか。そうだな。一番はやっぱり、長生きできることだな」

「おまえさん、長生きしたって、働くばかりじゃつまらないよ。なんといっても、金持ちになるこったね」

「それもそうだ。大金持ちになりゃ、願いごとはなんでもかなうからな。AVISOシリーズ全部買って、フェラーリとくりゃ、この浜の英雄だな...」

 二人は、あれこれ考えました。

「ねえ、おまえさん、考えていたってはじまらないさ。急ぐことはないよ。ひと晩寝れば、いい知恵も浮かぶだろうから」

 こうして二人は、いつものように仕事にとりかかりました。

 しかしおかみさんは、台所仕事をしていても、三つの願いごとばかりが気にかかって、仕事がすすみません。

 主人のほうも、夢に見たフェラーリやAVISOが目のまえにちらついて、仕事が進みません。

 長い一日が終わって、夜になり、二人は暖炉のそばに腰をおろしました。

 暖炉の火はごうごうと燃え、妖しい光をなげかけていました。
 おかみさんは、暖炉の赤い火につられて、思わずさけびました。

「ああ、なんて美しい火だろう。この火で肉を焼いたら、きっとおいしいだろうね。今夜はひとつ、分厚いステーキでも食べてみたいもんだわ」

 おかみさんがそう言い終わったとたん、 願いごとがかなって、大きなリブアイステーキ肉がバタンと、天井から落ちてきました。

 すると、主人がどなりました。
「このまぬけ! おまえの食いしんぼうのおかげで、だいじな願いごとを使ってしまった。こんなもの、おまえの鼻にでもくっつけておけ!」

 主人がい言い終わるか終わらないうちに、ステーキ肉はおかみさんの鼻にくっついてしまいました。

 あわててひっぱってみましたが、どうしても取れません。

 きれいだったおかみさんの顔は、大きな肉がくっついて見られたものではありません。
 おかみさんは、大声で泣き出しました。

 それを見て、主人は言いました。
「おまえのおかげで、大事な願いごとをふたつも無駄にしてしまった。最後はやっぱり、大金持ちにしてほしいとお願いしようじゃないか」

 おかみさんは泣きじゃくりながら、足をドタバタさせました。
「おだまり! もうたくさんよ。最後の願いは、たったひとつ。このステーキ肉が鼻からはなれますように!」

 そのとたん、ステーキ肉は鼻からはなれ、おかみさんはもとの美しい顔に戻りました。

 それから二人は、二度と不平など言わず、今の暮らしを大切にしたということです。
 
 みなさんもいい波に乗って、楽しく健康に、幸せな年の瀬をお過ごし下さい。



今日は222回記念なので、最近読んだいいお話を載せてみました。
クリスマスも近いので、タイミングがばっちりだと思います。
俺はどんな贈り物をするのか心配になりましたが。(笑)


*****
賢者の贈り物

オー・ヘンリー作
結城浩訳

1ドル87セント。それで全部。しかもそのうち60セントは小銭でした。小銭は一回の買い物につき一枚か二枚づつ浮かせたものです。乾物屋や八百屋や肉屋に無理矢理まけさせたので、しまいに、こんなに値切るなんてという無言の非難で頬が赤くなるほどでした。デラは三回数えてみました。でもやっぱり1ドル87セント。明日はクリスマスだというのに。

これでは、まったくのところ、粗末な小椅子に突っ伏して泣くしかありません。ですからデラはそうしました。そうしているうちに、人生というものは、わあわあ泣くのと、しくしく泣くのと、微笑みとでできており、しかも、わあわあ泣くのが大部分を占めていると思うようになりました。

この家の主婦が第一段階から第二段階へと少しづつ移行している間に、家の様子を見ておきましょう。ここは週8ドルの家具付きアパートです。全く筆舌に尽くしがたいというわけではないけれど、浮浪者一掃部隊に気をつけるためにアパートという名前をつけたに違いありません。

階下には郵便受けがありましたが手紙が入る様子はなく、呼び鈴はありましたが人間の指では鳴らせそうもありません。その上には「ミスター・ジェームズ・ディリンガム・ヤング」という名前が書かれた名刺が貼ってありました。

その「ディリンガム」の文字は、その名の持ち主に週30ドルの収入があった繁栄の時代にはそよ風にはためいてきました。でもいまや収入は20ドルに減ってしまい、文字たちはもっと慎ましく謙遜な「D」一文字に押し縮めようかと真剣に考えているようでした。しかし、ジェームズ・ディリンガム・ヤング氏が家に帰って二階のアパートに着くと、すでにデラとしてご紹介済みのジェームズ・ディリンガム・ヤング夫人が、「ジム」と呼びながら、いつでもぎゅうっと夫を抱きしめるのでした。これはたいへん結構なことですね。

デラは泣くのをやめ、頬に白粉をはたくのに意識を集中させました。デラは窓辺に立ち、灰色の裏庭にある灰色の塀の上を灰色の猫が歩いているのを物憂げに見ました。明日はクリスマスだというのに、ジムに贈り物を買うお金が1ドル87セントしかありません。何月も何月もコツコツとためてきたのに、これがその結果なのです。週20ドルでは、大したことはできません。支出はデラが計算した以上にありました。支出というものはいつだってそういうものでした。ジムへの贈り物を買うのに1ドル87セントしかないなんて。大切なジムなのに。デラは、ジムのために何かすばらしいものをあげようと、長い間計画していたのです。何か、すてきで、めったにないもの —— ジムの所有物となる栄誉を受けるに少しでも値する何かを。

その部屋の窓と窓の間には姿見の鏡が掛けられていました。たぶんあなたも8ドルの安アパートで見たことのあるような姿見でした。たいそう細身で機敏な人だけが、縦に細長い列に映る自分をすばやく見てとって、全身像を非常に正確に把握することができるのでしょう。デラはすらっとしていたので、その技術を会得しておりました。

急にデラは窓からくるりと身をひるがえし、その鏡の前に立ちました。デラの目はきらきらと輝いていましたが、顔は20秒の間、色を失っていたのでした。デラは手早く髪を下ろし、その長さいっぱいまで垂らしました。

さて、ジェームズ・ディリンガム・ヤング家には、誇るべき二つのものがありました。一つはジムの金時計です。かつてはジムの父、そしてその前にはジムの祖父が持っていたという金時計。もう一つはデラの髪でした。シバの女王が通風縦孔の向こう側のアパートに住んでいたとしましょう。ある日、デラが窓の外にぬれた髪を垂らして乾かそうとしたら、それだけで、女王様の宝石や宝物は色あせてしまったことでしょう。また、ソロモン王がビルの管理人をやっていて、宝物は地下室に山積みしていたとしましょう。ジムが通りがかりに時計を出すたび、王様はうらやましさのあまり、ひげをかきむしったことでしょう。

さて、そのデラの美しい髪は褐色の小さな滝のようにさざなみをうち、輝きながら彼女のまわりを流れ落ちていきました。髪はデラの膝のあたりまで届き、まるで長い衣のようでした。やがてデラは神経質そうにまた手早く髪をまとめあげました。ためらいながら1分間じっと立っていました。が、そのうちに涙が一粒、二粒、すりきれた赤いカーペットに落ちました。

デラは褐色の古いジャケットを羽織り、褐色の古い帽子をかぶりました。スカートをはためかせ、目にはまだ涙を光らせて、ドアの外に出ると、表通りへ続く階段を降りていきました。

デラが立ち止まったところの看板には、「マダム・ソフロニー。ヘア用品なら何でも。」と書いてありました。デラは階段を一つかけのぼり、胸をどきどきさせながらも気持ちを落ち着けました。女主人は大柄で、色は白すぎ、冷ややかで、とうてい「ソフロニー」という名前のようには見えませんでした。

「髪を買ってくださいますか」とデラは尋ねました。

「買うさ」と女主人は言いました。「帽子を取って見せなさいよ」

褐色の滝がさざなみのようにこぼれ落ちました。

「20ドル」手馴れた手つきで髪を持ち上げて女主人は言いました。

「すぐにください」とデラは言いました。

ああ、それから、薔薇のような翼に乗って2時間が過ぎていきました。 …なんて、使い古された比喩は忘れてください。デラはジムへの贈り物を探してお店を巡っておりました。

そしてとうとうデラは見つけたのです。それは確かにジムのため、ジムのためだけに作られたものでした。それほどすばらしいものはどの店にもありませんでした。デラは全部の店をひっくり返さんばかりに見たのですから。それはプラチナの時計鎖で、デザインはシンプルで上品でした。ごてごてした飾りではなく、素材のみがその価値を主張していたのです —— すべてのよきものがそうあるべきなのですが。その鎖は彼の時計につけるのにふさわしいとまで言えるものでした。その鎖を見たとたん、これはジムのものだ、とデラにはわかりました。この鎖はジムに似ていました。寡黙だが、価値がある —— この表現は鎖とジムの両者に当てはまりました。その鎖には21ドルかかり、デラは87セントをもって家に急いで帰りました。この鎖を時計につければ、どんな人の前でもちゃんと時間を気にすることができるようになるでしょう。時計はすばらしかったのですが、鎖の代わりに古い皮紐をつけていたため、ジムはこそこそと見るときもあったのです。

デラが家に着いたとき、興奮はやや醒め、分別と理性が頭をもたげてきました。ヘアアイロンを取り出し、ガスを着けると、愛に気前の良さを加えて生じた被害の跡を修繕する作業にかかりました。そういうのはいつも大変な仕事なのですよ、ねえあなた —— とてつもなく大きな仕事なのですよ。

40分のうちに、デラの髪は小さく集まったカールで覆われました。髪型のせいで、まるで、ずる休みした学童みたいに見えました。デラは、鏡にうつる自分の姿を、長い間、注意深く、ためつすがめつ見つめました。

「わたしのことを殺しはしないだろうけれど」とデラは独り言をいいました。「ジムはわたしのことを見るなり、コニーアイランドのコーラスガールみたいだって言うわ。でもわたしに何ができるの —— ああ、ほんとうに1ドル87セントで何ができるっていうの?」

7時にはコーヒーの用意ができ、フライパンはストーブの上にのり、チョップを焼く準備ができました。

ジムは決して遅れることはありませんでした。デラは時計の鎖を手の中で二重に巻き、彼がいつも入ってくるドアの近くのテーブルの隅に座りました。やがて、ジムがはじめの階段を上ってくる足音が聞こえると、デラは一瞬顔が青ざめました。デラは毎日のちょっとしたことでも小さな祈りを静かに唱える習慣がありましたが、このときは「神さま。どうかジムがわたしのことを今でもかわいいと思ってくれますように」とささやきました。

ドアが開き、ジムが入り、ドアを閉めました。ジムはやせていて、生真面目な顔つきをしていました。かわいそうに、まだ22歳なのに —— 彼は家庭を背負っているのです。新しいオーバーも必要だし、手袋もしていませんでした。

ジムは、ドアの内で立ち止まりました。うずらの匂いにじっとしている猟犬と同じように、そのまま動きませんでした。ジムの目はデラに釘付けでした。そしてその目には読み取ることのできない感情が込められていて、デラは恐くなってしまいました。それは憤怒ではなく、驚嘆でもなく、拒否でもなく、恐怖でもなく、デラが心していたどんな感情でもありませんでした。ジムは顔にその奇妙な表情を浮かべながら、ただ、じっとデラを見つめていたのです。

デラはテーブルを回ってジムの方へ歩み寄りました。

「ジム、ねえ、あなた」デラは声をあげました。「そんな顔して見ないで。髪の毛は切って、売っちゃったの。だって、あなたにプレゼント一つあげずにクリスマスを過ごすなんて絶対できないんだもの。髪はまた伸びるわ —— 気にしない、でしょ? こうしなきゃ駄目だったの。ほら、わたしの髪ってすごく早く伸びるし。『メリー・クリスマス』って言ってよ、ジム。そして楽しく過ごしましょ。どんなに素敵な —— 綺麗で素敵なプレゼントをあなたに用意したか、当てられないわよ」

「髪を切ったって?」とジムは苦労しつつ尋ねました。まるで、懸命に頭を働かせても明白な事実にたどり着けないようなありさまでした。

「切って、売っちゃったの」とデラは言いました。「それでも、わたしのこと、変わらずに好きでいてくれるわよね。髪がなくても、わたしはわたし、よね?」

ジムは部屋をさがしものでもするかのように見まわしました。

「髪がなくなっちゃったって?」ジムは何だか馬鹿になったように言いました。

「探さなくてもいいのよ」とデラは言いました。「売っちゃったの。だから、—— 売っちゃったからなくなったのよ。ねえ、クリスマスイブでしょ。優しくして。髪がなくなったのは、あなたのためなのよ。たぶん、わたしの髪の毛の一本一本まで神様には数えられているでしょうね」デラは急に真面目になり、優しく続けました。「でも、わたしがあなたをどれだけ愛しているかは、誰にもはかることはできないわ。チョップをかけてもいい、ジム?」

ジムはぼうっとした状態からはっと戻り、デラを抱きしめました。さて、それではここで10秒間、趣を変えたささやかな事柄について控え目に吟味をしてみましょう。週8ドルと年100万ドル —— その違いは何でしょうか。数学者や知恵者に尋ねたら、誤った答えが返って来るでしょう。東方の賢者は高価な贈り物を持ってきましたが、その中に答えはありませんでした。何だか暗いことを申しましたが、ここで述べた言明は、後にはっきりと光り輝くことになるのです。

ジムはオーバーのポケットから包みを取り出すと、テーブルに投げ出しました。

「ねえデラ、僕のことを勘違いしないで。髪型とか肌剃とかシャンプーとか、そんなもので僕のかわいい女の子を嫌いになったりするもんか。でも、その包みを開けたら、はじめのうちしばらく、どうして僕があんな風だったかわかると思うよ」

白い指がすばやく紐をちぎり紙を破りました。そして歓喜の叫びが上がり、それから、ああ、ヒステリックな涙と嘆きへと女性らしくすぐさま変わっていったのです。いそいで、そのアパートの主人が必死になって慰めなければなりませんでした。

包みの中には櫛(くし)が入っていたのです —— セットになった櫛で、横と後ろに刺すようになっているものでした。その櫛のセットは、デラがブロードウェイのお店の窓で、長い間あがめんばかりに思っていたものでした。美しい櫛、ピュアな亀甲でできていて、宝石で縁取りがしてあって —— 売ってなくなった美しい髪にぴったりでした。その櫛が高価だということをデラは知っていました。ですから、心のうちでは、その櫛がただもう欲しくて欲しくてたまらなかったのですけれど、実際に手に入るなんていう望みはちっとも抱いていなかったのです。そして、いま、この櫛が自分のものになったのです。けれども、この髪飾りによって飾られるべき髪の方がすでになくなっていたのでした。

しかし、デラは櫛を胸に抱きました。そしてやっとの思いで涙で濡れた目をあげ、微笑んでこう言うことができました。「わたしの髪はね、とっても早く伸びるのよ、ジム!」

そしてデラは火で焼かれた小猫のようにジャンプして声をあげました。「きゃっ、そうだ!」

自分がもらう美しい贈り物をジムはまだ見ていないのです。デラは手のひらに贈り物を乗せ、ジムに思いを込めて差し出しました。貴金属の鈍い光は、デラの輝くばかりの熱心な気持ちを反射しているかのようでした。

「ねえ素敵じゃない? 町中を探して見つけたのよ。あなたの時計にこの鎖をつけたら、一日に百回でも時間を調べたくなるわよ。時計、貸してよ。この鎖をつけたらどんな風になるか見たいの」

デラのこの言葉には従わず、ジムは椅子にどさりと腰を下ろし、両手を首の後ろに組んでにっこりと微笑みました。

「ねえデラ。僕達のクリスマスプレゼントは、しばらくの間、どこかにしまっておくことにしようよ。いますぐ使うには上等すぎるよ。櫛を買うお金を作るために、僕は時計を売っちゃったのさ。さあ、チョップを火にかけてくれよ」

東方の賢者は、ご存知のように、賢い人たちでした —— すばらしく賢い人たちだったんです —— 飼葉桶の中にいる御子に贈り物を運んできたのです。東方の賢者がクリスマスプレゼントを贈る、という習慣を考え出したのですね。彼らは賢明な人たちでしたから、もちろん贈り物も賢明なものでした。たぶん贈り物がだぶったりしたときには、別の品と交換をすることができる特典もあったでしょうね。さて、わたくしはこれまで、つたないながらも、アパートに住む二人の愚かな子供たちに起こった、平凡な物語をお話してまいりました。二人は愚かなことに、家の最もすばらしい宝物を互いのために台無しにしてしまったのです。しかしながら、今日の賢者たちへの最後の言葉として、こう言わせていただきましょう。贈り物をするすべての人の中で、この二人が最も賢明だったのです。贈り物をやりとりするすべての人の中で、この二人のような人たちこそ、最も賢い人たちなのです。世界中のどこであっても、このような人たちが最高の賢者なのです。彼らこそ、本当の、東方の賢者なのです。

Copyright (C) 1999 Hiroshi Yuki (結城 浩)
夜明け前にイナリーズ。
瞑想中のような毎日。
修行のバイオリズムなのだろう。

今日は昨日に増してものすごいブレイクとなった。
波圧がすごく、バレルの中で空気が超圧縮したのを感じた。
一瞬大気の粒子が単数となったように、まるで真空かと思ったほどで、具体的には音がなくなった。
一瞬ふわっと天に持ち上げられた感覚となる。



夜明けの間、黄金バレルに包まれ、やがて放心したように車に戻る。

タオルも使わずにそのままウエットを脱ぎ、砂だらけになった体ごと素っ裸で海に飛び込むと、ようやく現実に戻った。

いやあ、気持ちいい。
持ってきたお茶がうまいね。
いなり寿司最高。

携帯電話を見ると着信ありの点滅。

メッセージを聞くと、スパーキからで、ソフトサンドがすごいことになっているという。

慌てて行くと、300mくらいの距離に4ピークのパーフェクションが出現していた。
セットで4フィート、そうだなダブルくらい。
無風快晴。
インサイドでジョン・ペックが10フィートロングにニーパドルして、頭くらいの波に乗っている。
夢なのかこれは...?

沖に出ると、カリスマ島人カイル・マリグロがいて、バックドアみたいなバレル内に吸い込まれて一瞬で内部に圧縮された。
波にはうるさいスパーキが「最高最高!」とうっとりとしているので「これはすごいことだ」と気を引き締める。

使ったのはクアッドRNF5'5"。
斜面の中のホールド性という観点でシェーン(・ベッシェン)と話した時にバレル内のパンプを試してみたかったので、選んでみた。

スパーキは俺が進呈したタタキ2の5'10"。
この波にはものすごく調子良いらしい。

普通ならミニガンを使うシチュエーションなのに、ここはみんな変だ。

たっぷり乗り、上がると沖にものすごいバックサイダーが登場した。
彼は全てのセクションでバレルインしてインサイドまで来た。
速いぞ。
フォームボールになってもスピードが落ちないんだなあ。
最後のセクションでは大きくエア。
おお!
ネイトだ!!
ネイトとはネイザン・フレッチャーで師匠ハーチャンの次男。
ここに来ていたのか。
不思議な縁だ。
それにしてもいい波にふらっと現れて、さすが奇才だけある。
フォースなのか、ダークサイドかは読者のみなさんに委ねるが、すごいパワーだ。
ちなみに彼はFF4フィン盗作版でした。(笑)

浜で少し読書をする。
持ってきたのは大正文学の王、芥川龍之介。

この「蜘蛛の糸」というのはチューブライディングそのもので、今までの全てをお釈迦さまによって試されているように感じた。

テイクオフの位置、
ボトムターン、
波へのくっつき方、
ボードの落とし方(角度)、
体重移動、
そして精神力。

これら全てがうまくいかないと壁から振り落とされる、
巻き上げられる、またはリップに叩かれ、一瞬で地獄行きとなる。

極楽か地獄か。
波乗りは実に深い。
人生までかいま見えるのである。

ふと横を見ると、最後のいなり寿司を発見した。
この作品も終わりの文落に入っていた。

しかし極楽の稲荷寿司は、少しもそんな事には頓着(とんじゃく)致しません。
その玉のような金色の蕊(ずい)からは、何とも云えない好(よ)い匂が、絶間(たえま)なくあたりへ溢(あふ)れて居ります。
極楽ももう午(ひる)に近くなったのでございましょう。
(了)


(蜘蛛の糸あらすじ)
カンダタ(犍陀多)は大泥棒や人殺しと様々な悪事を行った為に地獄に落とされてしまいました。

しかし、生涯で一度だけ善い事をした事がありました。
それは小さな蜘蛛を助けたこと。

そこでお釈迦さまは、地獄の底のカンダタを極楽への道へと案内するために、一本の蜘蛛の糸を、カンダタに下ろしました。

カンダタは蜘蛛の糸をつたって、地獄から何万里も上にある極楽へと上り始めました。
ところが、糸をつたって上っている途中でカンダタはふと下を見下ろすと、数限りない罪人達が自分の上った後をつけていました。
このままでは糸は重さによって切れて、落ちてしまうとカンダタは思いました。
そこでカンダタは「この蜘蛛の糸は俺のものだぞ。お前達は一体誰に聞いて上ってきた。下りろ、下りろ。」と喚きました。

次の瞬間、蜘蛛の糸がカンダタのぶら下がっている所から切れてしまいました。
カンダタは再び地獄に落ちてしまいました。

お釈迦さまは極楽からこの一部始終をご覧になっていました。
自分だけが地獄から抜け出そうとするカンダタの無慈悲な心が、お釈迦様には浅ましく思われたのでしょう。
今朝も暗い内にイナリーズに行き、朝日を圧縮させたバレルに包まれた。
乗ったのはAVISO RNF。
選んだ理由は折れないから。

帰ってきて、感謝祭で両親の家に遊びに来ていたシェーン&ギャビン・ベッシェンに会いに行き、彼らとここの波話。

ギャビンは6ftイナリーズでワイプアウトし、海面に上がらず溺れそうになったことがあるという。

ここの恐ろしさを身を持って知っている俺は、彼でもそうなのかぁ、と改めてイナリーズの凄さを思い知った。

シェーンは昨日ロッキーライトに俺と同じRNFで入ったそうで、「RNFは5~6ftでも機能することを証明したぜ」と目を輝かせていた。

それに「ロッキーには誰も入っていなかった」と付け加えていたから、ほとんどクローズアウトしていたのだろう。
やはり世界トップのサーファーはすごいなあ。

閑話休題。
最近、明治文学に目覚めた。

当時、文藝大将だった森鴎外から始まり、昨日からはまっているのは樋口一葉。

何事も試さねばならない性分だから、今朝の様子を彼女の文体で書いてみた。

 「世にたのまれぬを男心といふ、それよ秋の空の朝日にはかに掻きくもりて、荒くれ野海に横しぶきの難義さ、出あひし物はみな其樣に申せども是れみな時のはづみぞかし、波こえよとて上の稲荷山ちぎれるもなく、男傾城(けいせい)ならぬ身の空涙こぼして何に成るべきや、昨日あはれと見しは昨日のあはれ、今日の我が身に爲す業しげゝれば、忘るゝとなしに忘れて一生は夢の如し、露の世といへばほろりとせしもの、はかないの上なしなり」

旧仮名遣いはむずかしいね。
ちんぷんかんぷんでござる。

昨日、24歳でその短い生涯を閉じた彼女の命日ということを知り、なんか魂に引き寄せられた気がした。

さらにーー彼女の命日にーー撮った写真をチェックしていると、この波がしっかりと焼き付いていた。

俺にとって、この作品から強い「樋口一葉」を感じる。
死後111年経って、彼女の魂はまだ輝いている。



(追記)
そろそろ作品も集まってきたので、『nakiphoto2007・プリントコレクション』をサイト内で販売しようと思います。

第一弾はこの作品とします。
Thanksgiving Day 2006

サイズは
Lサイズ(89mmx127mm)
六切サイズ(203mm×254mm)
四切サイズ(254mm×305mm)

の三種類です。

気になるお値段ですが、多くの方にお分けられるように、少しでも安くできるように、最高品質のプリント屋を調べていますのでお待ちください。
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プロフィール
名前:Naki 2009 または船木三秀
HP:NAKISURF
性別:男性
職業:専門職
趣味:海
自己紹介:
 11年暮らしたカリフォルニアからノースハワイ島に住みかえ、毎日クオリティの高い波で波乗りをしています。

 私は波乗り殉教者で、肩書きはプロサーファー、写真家、画家、ルポライター、デザイナーです。

 風が創ったさざ波が合わさり、遠くの洋(うみ)から陽の下、夜の中を駈けてきたうねりに乗る、というような気持ちで波に接している。
 その欲求と探求心は飽くことがないようで、小さい頃からの夢であった世界の海を旅し、自分なりのアウトプットを続けています。

 波を知ることは海を知ること。その深遠無限のインスピレーションを感じ、ゆらゆらと絡まった日々をこのブログで綴れたらなあ、と。

 そんな波乗りの奥深さ、その意識や感覚を文章、写真、絵で表現できたらと思っています。

 同業の方、同じ夢の方、海が好きな方、波乗りを愛する方、この場でお話しましょう。

 ありきたりの道具論に留まらないメッセージをみなさまと創ってみたいのです。

 また、カリフォルニア州、サンクレメンテ発のサーフショップ『NAKISURF.COM』も運営しております。

 こちらは長年培ったサーフ業界のコネクションを活かし、世界で一番誇れるWEB STOREを目指しておりますので、どうぞご覧になってください!

ぜひ!

 どうぞよろしくお願いします。
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