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波乗りの
コール寄りそひて
イナリーズに
うき世のうさを
知るよしもなし
これは「コールボードと俺がイナリーズで波乗りしていると、この世のつらさも全く感じない」という意味の五句体(31モーラ)つまり和歌。
この和歌は、817年前に他界された西行先生からインスピレーションを得ました。
で、今日のお話はバットフィッシュ・インプレッションです。
先週、ニューポートビーチでの膝腰進水式を終えて、そのバランスとスムースさに感激して、コールのロゴがまた輝いた。
このバットフィッシュを受け取るまでには紆余曲折(うよきょくせつ)であった。
メイヘムがコールのクアッドをコピーし、その前にはコールがメイヘムのラウンドノーズフィッシュをコピーしていたのだからそれはしょうがない。
そこで俺はメイヘムのクアッド・ラウンドノーズフィッシュ(Q-RNF)と、このバットマン、じゃなかったバットフィッシュを対決させようと同時にオーダーしたのだけど、その後すぐに「コールショック」が起きてしまった。
以前ここでも書いたが、Q-RNFは「Qちゃん」としていくつもの伝説が誕生した。
コールに「俺が行くカリフォルニア前にはシェイプしておいて、そっちで乗るから」と一月も前から電話で言っておいたのだが、俺の到着初日にようやくプレシェイプが仕上がってきたという状況...。
その後超急ぎでシェイプしてもらい、グラスショップ(巻き屋)で夜なべし、24時間で仕上げてもらったのがこのバットフィッシュ。
よって受け取りも日程最終日、しかも早朝5時と異例の時間だった。
デフォルトでついてくるFUTUREフィンを4枚取り付けていくと、まだ硬化完了していないのか樹脂が柔らかく感じた。
そういえば、最近のこのクアッドフィンにはコールロゴが入っていないんだなあ。
しかもデッキのロゴが逆さま(反転)です。(笑)
そんなことはどうでもいいや。
さてさて、このバットフィッシュはラウンドノーズ系でコールブランドではブレットフィッシュモデルに属する。これはその亜種になるのだろうか。
サーフボード製作工業界の達人でもあり、妖術を使うとされるコールが開発設計した新4フィンモデルだ。
4フィンなのにクアッドの文字はひとつもなく、「バットフィッシュ」という単語だけで全てを表現しているのにも、ネオクアッドの創始者コールならではの自信を感じた。
軽く、密度が細かく、強く、安定していて樹脂が染みこみづらい(重くならない)というUSA製のJUSTFOAMを使用したそうだ。
今回の私のオーダーは準ブラックレーベル(BL)なので、フィン以外はBL仕様となる。
デッキ側にはWARPとD-SIZEクロスの4オンスを各1層づつ、ボトムには4オンスWARP1層。
プロボード製作を20年近く担当している名職人ジェフ・ウエルズが余分な樹脂を巻き付けないように、樹脂を取りすぎて強度を落とさないように完璧にラミネートしてくれた。
改めて詳しくボードを見ると、女性の体のように曲線、つまりカーブだけで形成されたアウトラインと気づく。
スムースな乗り味を実現させるミディアム(ロー・ボキシー)レイルが削り出されていた。テイル付近からコールが言うところのコントロールエッジが効いている。貫禄のレイルタッチにうっとりとして、何度も触れてしまった。
いわば禁断のレイルなのだろうか....。
エントリーロッカーを極限まで抑え、テイルキックを少しリフトアップさせています。
これによってスピード、そしてコントロールという相反するアーニングポテンシャル(earning potential=所得潜在力)をポジティブ側に導いたのですね。
さて、ボードを裏返し、詳細微細のチェックをする。
ボトムコントゥアー(形状)は、ノーズ側からフラット、シングルドーム、その中にダブルバレルコンケイブをフロントフィン(後ろ足部)まで延ばし、テイルエンドでごくわずかのVEEをセットしてある。
このシステムは、コールの考えるところのターンのトラブルの原因となる「歪流」を取り除いた傑作で、現在カリフォルニアのシェイパーはほとんどこのスタイルである。
そして他のシェイパーがこぞって真似をしたバットテイル。
ルーツはダイアモンドテイルから組み替えられたコンセプトスタイルで、テイルアウトラインをばっさり1インチ短くできる。
結果、ライダーはオートマチックに約2.5cmテイル側を踏むこととなり、より激しいパフォーマンスとなってしまう。
本当によく考えられていて、そして理にかなっている。
ケリー・スレーターがサーフィングの天才ならば、コールはボードデザインのそれに違いない。
コール印の魔法をあますところなく使い、短く、丸いアウトラインのサーフボードが持つ特有の「不正確な浮き上がり」を排除し、直感的な、つまり意志のおもむくまま操れる性能を実現しました。
そのバットフィッシュを持ち、イナリーズへ行くと艶のある頭半の波がブレイクしていました。
上等の舞台と、至高、つまりこの上なく高く優れているボードを抱え、俺は踊るように砂浜を走り、海に飛び込んだのです。
何本か至福のターンを経験すると、冒頭に書いた和歌が頭に浮かびました。
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アメリカ、カリフォルニア州でサーフボードに関わる仕事をしてきて12年。
シェイパーはもちろん、メーカーやサーフボード職人たちと多く関わってきた。
自身がプロサーファーであったこともあり、一般の人には足を踏み入れることのできない、工場やシェイピングルーム、またはモデル詳細のいきさつまで、いわば「聖域」での微細を顧客に伝えてビジネスにしてきた。
手前味噌で恐縮だが、超がつくほどの名匠とされるコール・シムラーと、NAKISURFとの間で独占販売権を得たのもそれまでのリレーションシップ、そして歴史と将来への希望以外には考えられない。
最近のサーフボードビジネスでは、モールド、新素材が目白押しだが、その中でもハイテクのリーダーで、その製造行程を超極秘としているAVISOのボード製作秘密を先日初めて知った。
彼らは秘密を保持するために工場をネバダ州に設立するほどの念の入れようだ。
だからここでもどこでもそれは言えないが、それはものすごいものである。
高圧力、高温...、あれ?もう言っちゃいそうになった。(笑)
そのAVISOとコールの初のコラボレーションであるファイアーフライ(FF)のプロトタイプが誕生した。
そしてそれを乗るという機会に恵まれた。
さて、このFFは3フィン全盛の時、コールがネイザン・フレッチャーと共に誰も乗らなかった4フィンに焦点を当て、長い間温め、育んできた新フィンシステムデザイン。
一時ソルトクリークの鬼マーク・ガブリエルが「ファイアーフライやばいぜ、乗ったか?」とそればかりみんなに聞いていたのがフラッシュバックされた。
その後、ネイザンと仲良くなったストレッチという奇妙なシェイパーがコールのデザイン、バットテイルまで全てを盗用し、「私のデザインだ!」と言い張り、シェイパー大賞まで取ったものだから、そのコールとネイザンのしてきた課程を知っているディノ・アンディーノを旗本に、当時者ネイザンまでも巻き込んで、コール擁護論を引き起こした。
この内容はハッピーマガジンにまで公表され、業界はちょっとした騒ぎとなった。
しかし当事者コールは涼しいもので、「言いたい奴には言わせておけばいい」と実力と創始者のみができる重く、対決しないという発言をして、イライラしていた周囲をはっとさせた。
話がそれた。
レイルにあるくぼみはコール考案のグラブコンケイブという試みで、クロスやストリンガーをそのままにレイル部の剛性を高めるというデザイン。
レイル剛性を高めると、ボトムターンでの伸びが変わる、折れが少なくなるという重要な利点を持つ。
これを受けて2006年度はファイアーワイアー、パラボリックストリンガーに代表される新システムが登場した。
このデザインが来年からやっているサーフボード工業デザインを新型だ!とハイプ(刺激)しているけど、これもこのコール印のグラブコンケイブを違う形で表現したのだ。
昨今の流行は全てコールのアイディアが実現されているに過ぎない。
その4フィンについてコールと話すと、フィンの角度と距離、そしてそれにあわせたコンケイブとレイル、ロッカーとのバランスが重要なのだと言い切った。
それら全てをシンクロナイズドさせて完全表現できなければAVISO社にはFFを製作させない、という条件付きで製作したのがこのプロトタイプFF。
AVISO社も世界的なカーボンファイバー技師がいるので、複雑なコールデザインの再現はお手のものとばかりに製作に入った。
だが通常3週間でサンプルは製作できるのだが、このFFの場合、実に倍の日数を費やした。
完成後AVISOは、すぐにコールのところにこのプロトサンプルを持ち込み、いかに彼の創造を再現できているかをチェックしてもらう。
この日のことはStaff Blogにもアップされているが、「ロッカー、レイル、コンケイブ、テイルVEE、フィンの位置、角度、重さ、バランス、ボリュームまで全て完璧だ」とコールから満点合格を得たのだ。
涙ぐむAVISO制作チーム。
夢と情熱の結晶なのだ。
ちなみにこのツール(モールド)を製作する費用は1万ドル。日本円で120万円もかかる。
モデルに対してではなく、サイズに対してだから現在FFは3サイズの生産が見込まれているからこれだけで準備金が360万円。
その記念すべきプロトモデルを試すべく、私が垂涎の読者になりかわり、我が身を挺してニューポートビーチのクローズアウト・バレルに突っ込み、その性能と強度を試してみることとなった。
話題の新作を試してみたいという興味本位なのだが、だれもがやりたいことはこちらがやるということを実践してみた。
このAVISO FFのサイズは5’10”x18-3/4”x2-1/4”と私には少し大きめだが、浮力が足りないよりはいい。
ワックスを塗り、いざいざと、その激浅のショアブレイクに向かった。
ボードをチェックするとポリエスターやEPSのFFと何も相違ないことに気づいた。
特にグラブコンケイブは完璧に再現されていて、黒光りするえぐれを眺めてうっとりとしてしまった。
そのグラブコンケイブの廻りには一段と濃い色の縁取りがされていて、AVISOのブラントはサンプル生産のみにこの色目が付いていると言う。
なぜ付いているのかを聞くと、この黒い縁取りは強度が強いもので、最初にグラブコンケイブの強度に対しての敬意だったのだが、実際には必要なく、製品版には反映しないそうだ。
バットテイルもカーボンファイバーが入り組んでいて、とてもセクシー。
他のAVISOのように中空なので、叩くと太鼓のような共鳴音がした。
ターンをすると、これがデッキ部だけ凹み、スプリングの役目をするのだろう。
全体の美しさに見とれていたらブラントはすでに海に入っていた。
波はどう見てもクローズアウト、日本風に言うところのダンパーである。
パドリングは安定している。
うれしいのでノーズをダンダンと叩き、海面に共鳴させた。
強度テストをするためにクローズアウトバレルに入り込み、ショックを与えてみようと巻き上げる波のコーナーからテイクオフ。
強いオフショアの割にはテイクオフが早く、波の壁にレイルをセットし、バレルイン。
すると一瞬真ん丸に拡がったバレルが下から吹き上げてくるフォームボール(泡)と交わった。
容赦ない一瞬のワイプアウト。
バックサイドだったのでレイルを掴んだまま、ノーズダイブしてしまった。
すると膝程度の浅さしかなかったので、ノーズはそのまま砂にめり込み、ボードを掴んだまま前転した。
「絶対に折れた....」と後悔するあれだ。
波の中でボードを離し、砂まみれになって上がってきてボードをチェックするが、まさかの無傷。
この強さには驚いた。
俺の体重をノーズにかけてしまったのに、本当に強いなあ、などと独り言。
4フィン独特の切れ込むようなターンもAVISOだとさらなる切れ味となる。
AVISO-FFすごい!と吼えると、「いやまだお前は佳い波に乗っていない」とコールからの声が聞こえるようだった。
着替えている間、横に立てかけてこのボードを眺めていると、フェロモンが出ているようで、愛おしくなってしまった。
これをAVISO社に返さずに逃避行か?などという考えも横切るが、ぐっとこらえる。(笑)
AVISO社にとっても大事な001号だからね。
車に積む時にそのフォルムが彗星みたいで、かっこいいなあ、とまたうっとりとした。
ニューポートビーチ市での2006年12月のことだった。
空にはふたご座流星群が見えるらしい。
シェイパーはもちろん、メーカーやサーフボード職人たちと多く関わってきた。
自身がプロサーファーであったこともあり、一般の人には足を踏み入れることのできない、工場やシェイピングルーム、またはモデル詳細のいきさつまで、いわば「聖域」での微細を顧客に伝えてビジネスにしてきた。
手前味噌で恐縮だが、超がつくほどの名匠とされるコール・シムラーと、NAKISURFとの間で独占販売権を得たのもそれまでのリレーションシップ、そして歴史と将来への希望以外には考えられない。
最近のサーフボードビジネスでは、モールド、新素材が目白押しだが、その中でもハイテクのリーダーで、その製造行程を超極秘としているAVISOのボード製作秘密を先日初めて知った。
彼らは秘密を保持するために工場をネバダ州に設立するほどの念の入れようだ。
だからここでもどこでもそれは言えないが、それはものすごいものである。
高圧力、高温...、あれ?もう言っちゃいそうになった。(笑)
そのAVISOとコールの初のコラボレーションであるファイアーフライ(FF)のプロトタイプが誕生した。
そしてそれを乗るという機会に恵まれた。
さて、このFFは3フィン全盛の時、コールがネイザン・フレッチャーと共に誰も乗らなかった4フィンに焦点を当て、長い間温め、育んできた新フィンシステムデザイン。
一時ソルトクリークの鬼マーク・ガブリエルが「ファイアーフライやばいぜ、乗ったか?」とそればかりみんなに聞いていたのがフラッシュバックされた。
その後、ネイザンと仲良くなったストレッチという奇妙なシェイパーがコールのデザイン、バットテイルまで全てを盗用し、「私のデザインだ!」と言い張り、シェイパー大賞まで取ったものだから、そのコールとネイザンのしてきた課程を知っているディノ・アンディーノを旗本に、当時者ネイザンまでも巻き込んで、コール擁護論を引き起こした。
この内容はハッピーマガジンにまで公表され、業界はちょっとした騒ぎとなった。
しかし当事者コールは涼しいもので、「言いたい奴には言わせておけばいい」と実力と創始者のみができる重く、対決しないという発言をして、イライラしていた周囲をはっとさせた。
話がそれた。
レイルにあるくぼみはコール考案のグラブコンケイブという試みで、クロスやストリンガーをそのままにレイル部の剛性を高めるというデザイン。
レイル剛性を高めると、ボトムターンでの伸びが変わる、折れが少なくなるという重要な利点を持つ。
これを受けて2006年度はファイアーワイアー、パラボリックストリンガーに代表される新システムが登場した。
このデザインが来年からやっているサーフボード工業デザインを新型だ!とハイプ(刺激)しているけど、これもこのコール印のグラブコンケイブを違う形で表現したのだ。
昨今の流行は全てコールのアイディアが実現されているに過ぎない。
その4フィンについてコールと話すと、フィンの角度と距離、そしてそれにあわせたコンケイブとレイル、ロッカーとのバランスが重要なのだと言い切った。
それら全てをシンクロナイズドさせて完全表現できなければAVISO社にはFFを製作させない、という条件付きで製作したのがこのプロトタイプFF。
AVISO社も世界的なカーボンファイバー技師がいるので、複雑なコールデザインの再現はお手のものとばかりに製作に入った。
だが通常3週間でサンプルは製作できるのだが、このFFの場合、実に倍の日数を費やした。
完成後AVISOは、すぐにコールのところにこのプロトサンプルを持ち込み、いかに彼の創造を再現できているかをチェックしてもらう。
この日のことはStaff Blogにもアップされているが、「ロッカー、レイル、コンケイブ、テイルVEE、フィンの位置、角度、重さ、バランス、ボリュームまで全て完璧だ」とコールから満点合格を得たのだ。
涙ぐむAVISO制作チーム。
夢と情熱の結晶なのだ。
ちなみにこのツール(モールド)を製作する費用は1万ドル。日本円で120万円もかかる。
モデルに対してではなく、サイズに対してだから現在FFは3サイズの生産が見込まれているからこれだけで準備金が360万円。
その記念すべきプロトモデルを試すべく、私が垂涎の読者になりかわり、我が身を挺してニューポートビーチのクローズアウト・バレルに突っ込み、その性能と強度を試してみることとなった。
話題の新作を試してみたいという興味本位なのだが、だれもがやりたいことはこちらがやるということを実践してみた。
このAVISO FFのサイズは5’10”x18-3/4”x2-1/4”と私には少し大きめだが、浮力が足りないよりはいい。
ワックスを塗り、いざいざと、その激浅のショアブレイクに向かった。
ボードをチェックするとポリエスターやEPSのFFと何も相違ないことに気づいた。
特にグラブコンケイブは完璧に再現されていて、黒光りするえぐれを眺めてうっとりとしてしまった。
そのグラブコンケイブの廻りには一段と濃い色の縁取りがされていて、AVISOのブラントはサンプル生産のみにこの色目が付いていると言う。
なぜ付いているのかを聞くと、この黒い縁取りは強度が強いもので、最初にグラブコンケイブの強度に対しての敬意だったのだが、実際には必要なく、製品版には反映しないそうだ。
バットテイルもカーボンファイバーが入り組んでいて、とてもセクシー。
他のAVISOのように中空なので、叩くと太鼓のような共鳴音がした。
ターンをすると、これがデッキ部だけ凹み、スプリングの役目をするのだろう。
全体の美しさに見とれていたらブラントはすでに海に入っていた。
波はどう見てもクローズアウト、日本風に言うところのダンパーである。
パドリングは安定している。
うれしいのでノーズをダンダンと叩き、海面に共鳴させた。
強度テストをするためにクローズアウトバレルに入り込み、ショックを与えてみようと巻き上げる波のコーナーからテイクオフ。
強いオフショアの割にはテイクオフが早く、波の壁にレイルをセットし、バレルイン。
すると一瞬真ん丸に拡がったバレルが下から吹き上げてくるフォームボール(泡)と交わった。
容赦ない一瞬のワイプアウト。
バックサイドだったのでレイルを掴んだまま、ノーズダイブしてしまった。
すると膝程度の浅さしかなかったので、ノーズはそのまま砂にめり込み、ボードを掴んだまま前転した。
「絶対に折れた....」と後悔するあれだ。
波の中でボードを離し、砂まみれになって上がってきてボードをチェックするが、まさかの無傷。
この強さには驚いた。
俺の体重をノーズにかけてしまったのに、本当に強いなあ、などと独り言。
4フィン独特の切れ込むようなターンもAVISOだとさらなる切れ味となる。
AVISO-FFすごい!と吼えると、「いやまだお前は佳い波に乗っていない」とコールからの声が聞こえるようだった。
着替えている間、横に立てかけてこのボードを眺めていると、フェロモンが出ているようで、愛おしくなってしまった。
これをAVISO社に返さずに逃避行か?などという考えも横切るが、ぐっとこらえる。(笑)
AVISO社にとっても大事な001号だからね。
車に積む時にそのフォルムが彗星みたいで、かっこいいなあ、とまたうっとりとした。
ニューポートビーチ市での2006年12月のことだった。
空にはふたご座流星群が見えるらしい。
ホワイトハウスに行くと、波情報のブイでは波高が上がっていたのに実際にはなぜか下がっていた。
波情報も完全ではない。
オフショアが強く、寒く、曇りで暗いホワイトハウスに小さくなった波が風にあおられてやっとブレイクした。
ウエットを着て、ワックスまで塗ったが、鮫の予感がしてノーサーフとした。
それでもあきらめきれず、夕方ジョンの住むケカハに行き、オンショア、腰波で少しサーフ。
夕陽がきれいだった。
(終わり)
うう。
やっと日記風のブログを書くことができた。
ということで、今日のお話。
まずは去年開催した個展『ocean dreams』at ビームスギャラリーでの作品群。
図書館で週刊文春を見つけ、食い入るように読む。
平成十七年七月七日号と奥付にはあるが、西暦で生活しているので、今年7月だと読み進む。
興味を持った記事は、
1. 仰木監督の死を語る涙の清原
2. ヤンキース松井とペドロの遅刻話
3. 椎名誠の赤マント
4. 大リーグ養成講座
と椎名さん以外は野球ネタばかりだったが、七月に松井がゲームに出ているのは変だ、と途中で気づき、調べてみると去年の週刊誌であった。
その号の中にお寿司の話があって、子供の頃に突如出現した寿司桶を思い出した。
俺はポークカレーが大好きだったので、煙突から真上に上がる煙を映した夕焼け空を見ながら我が家の夕食はカレーを予想していた。
それは野球の帰り路で、
バットとグローブをハンドルに抱え、ボールをスポークに挟み団地を曲がると、豆腐屋の隣からカレーの匂いがした。
我が家もカレーであってくれ、と願いさらに進行し家の角を曲がると、お寿司屋さんのスーパーカブが家の前に。
「おおー!!」
と期待に酔いしれドアを開けると、叔母さんが来ていて、そのためのお寿司と知った。
本当にうれしいね。
正月でも食べられなかったお寿司だから、実物を見て興奮した。
わさび抜き鮪が大好きで、あの時の酸味がほんのりとフラッシュバック。
この後スーパーが近所に建ち、ここのおみやげ寿司で鮪8こ(かん)を全て一人で食べた時の衝撃は忘れられない。
ワサビといえば、ケカハ小波を攻めようと車にワサビ5'10"を積んでいると、持っているボードからシャリシャリと音がする。
ん?
これはEPSなのか?
と確かめるとまさしくEPSだった。
ポリエスターだと思って今まで乗っていたから、自分のいい加減さにびっくり。
で、このEPS硬いね。
前のクアッドシャークは柔らかくフットマークができたけど、このEPSは今のところ何もついていない。
実はテイルをドアで挟んだけど、黒くなっただけで壊れなかった。
話は終わらないな。
(お知らせ)
明日から飛行機3本乗り継いでサンディエゴ-サンクレメンテに行きます。
今回は息子ノアと2人旅で、
ハーチャン
コール
メイヘム
太郎ちゃん
こうすけくん
ヒロさん
サム
会計事務所
歯医者
のアポイントメントをこなしながら
スケートボードパーク巡りをしてきます。
明日朝出発だけど、明日分ブログはちゃんと書きますよ。
ではでは
おやすみなさい。
波情報も完全ではない。
オフショアが強く、寒く、曇りで暗いホワイトハウスに小さくなった波が風にあおられてやっとブレイクした。
ウエットを着て、ワックスまで塗ったが、鮫の予感がしてノーサーフとした。
それでもあきらめきれず、夕方ジョンの住むケカハに行き、オンショア、腰波で少しサーフ。
夕陽がきれいだった。
(終わり)
うう。
やっと日記風のブログを書くことができた。
ということで、今日のお話。
まずは去年開催した個展『ocean dreams』at ビームスギャラリーでの作品群。
図書館で週刊文春を見つけ、食い入るように読む。
平成十七年七月七日号と奥付にはあるが、西暦で生活しているので、今年7月だと読み進む。
興味を持った記事は、
1. 仰木監督の死を語る涙の清原
2. ヤンキース松井とペドロの遅刻話
3. 椎名誠の赤マント
4. 大リーグ養成講座
と椎名さん以外は野球ネタばかりだったが、七月に松井がゲームに出ているのは変だ、と途中で気づき、調べてみると去年の週刊誌であった。
その号の中にお寿司の話があって、子供の頃に突如出現した寿司桶を思い出した。
俺はポークカレーが大好きだったので、煙突から真上に上がる煙を映した夕焼け空を見ながら我が家の夕食はカレーを予想していた。
それは野球の帰り路で、
バットとグローブをハンドルに抱え、ボールをスポークに挟み団地を曲がると、豆腐屋の隣からカレーの匂いがした。
我が家もカレーであってくれ、と願いさらに進行し家の角を曲がると、お寿司屋さんのスーパーカブが家の前に。
「おおー!!」
と期待に酔いしれドアを開けると、叔母さんが来ていて、そのためのお寿司と知った。
本当にうれしいね。
正月でも食べられなかったお寿司だから、実物を見て興奮した。
わさび抜き鮪が大好きで、あの時の酸味がほんのりとフラッシュバック。
この後スーパーが近所に建ち、ここのおみやげ寿司で鮪8こ(かん)を全て一人で食べた時の衝撃は忘れられない。
ワサビといえば、ケカハ小波を攻めようと車にワサビ5'10"を積んでいると、持っているボードからシャリシャリと音がする。
ん?
これはEPSなのか?
と確かめるとまさしくEPSだった。
ポリエスターだと思って今まで乗っていたから、自分のいい加減さにびっくり。
で、このEPS硬いね。
前のクアッドシャークは柔らかくフットマークができたけど、このEPSは今のところ何もついていない。
実はテイルをドアで挟んだけど、黒くなっただけで壊れなかった。
話は終わらないな。
(お知らせ)
明日から飛行機3本乗り継いでサンディエゴ-サンクレメンテに行きます。
今回は息子ノアと2人旅で、
ハーチャン
コール
メイヘム
太郎ちゃん
こうすけくん
ヒロさん
サム
会計事務所
歯医者
のアポイントメントをこなしながら
スケートボードパーク巡りをしてきます。
明日朝出発だけど、明日分ブログはちゃんと書きますよ。
ではでは
おやすみなさい。
ワサビ(山葵)は、アブラナ科ワサビ属の植物。
日本原産。
食用。
独特の刺激性のある香味を持つ。
そのワサビではなく、ここではサーフボードのワサビのお話です。
こんな始まりは古典的だなあ、と自分で思います。
さて、このワサビはこのNAKISURFをスタートさせる際に「何か目玉商品はないかなあ?」とメイヘムに話して、俺はSD2のバージョンアップを考えたのです。
ロスト社のベストセラーSD2。
これはフラットデッキ気味の少し厚めのレイルでした。
小波はいいけど、パンチが出る波だと操作が少しむずかしかったので、思いきってテーパーレイルを提案して、シャークから盗用した幅広なアウトラインで回転性能を引き上げました。
それをテイルで絞るのは、ダブルバンプ・ウイング。
メイヘムが長い間アイディアとして持っていて、それをこのモデルで実現しました。
そして面積のあるラウンドスクアッシュで波へのパンチ感を高めます。
最近シャークモデルが流行していますが、小波でも限りなくシャープな波乗りをしたい人への提案なのです。
複雑なボトム形状はメイヘムのお家芸。
広く長いシングルコンケイブの中に、さらに2本のコンケイブを彫り込み、トライケイブとし、加速性能と操作性を確保しました。
メイヘムと話をすると、アンディ・アイアンズにトラッスルズWCT戦でワサビを渡したらものすごく気に入って、このデザインを2007年度のSD3とすることにしたそーです。
ワサビはNAKISURFと日本正規代理店専用だから、アメリカでは少し仕様を換えて、SD3だなんて憎いね。
「トヨタ車がアメリカでものすごく評価され、しかも売れている」と聞かされたような、誇らしい気持ちとなった。
さて、11日前に届いたワサビ。
ここでも書いたけど、最初にAVISO RNFに乗り、それからQちゃんことクアッド・ラウンドノーズ・フィッシュに乗り続けていた。
乗らなかった理由はこのペラペラのワサビには波が大きすぎたから。
それだけ。
フィンはFUTUREボックスだったので、クアッドフィンのサイド2枚をつけて、バックフィンにはVF460を取り付けた。
かっこいい。
マット(・アーチボルド)のシグネチャーモデルのアストロデッキを付け、ワックスアップしていざ出撃!
ワサビはカリフォルニア原産のサーフボード。
それをここノースハワイのノースショアで試すことは究極のテストなんだろうな。
さて、最近毎日参拝しているソフトサンドに着いた。
ここはリーフの廻りに砂が付き、この10日間はキラみたいなコンディションとなっている。
今日からようやく波は下がり、ワサビの出番が来たのです。
ここを簡単に説明すると、大きな砂浜が左右に3kmほど拡がり、ここにだけ浅いリーフが突き出ている。
その一番沖にバレルオンリーの浅いリーフがあり、そしてリーフと砂ミックスのバレル&リッピングピークはセカンドセクションと呼んだ。
コーナー沖のメインブレイク、手前にリッピング3連発できるインサイド。
どこでサーフしてもディープな感覚となります。
それほどまでに波は分厚く、掘れ、強く、斜面は長くと、波乗りのエッセンスが詰まっています。
上手く乗り継ぎ、砂浜に立つと、ロマンチックで胸にしみいる風情となる、そんな場所。
手強くてやさしく、大らかで清らか。
女の人に例えるとそんな波。
さて、俺のボードサイズは…。
えーと、5'10"x19"x2"と書いてある。
んー、これじゃASPサーファークラスの浮力だよ。
道理でペラペラで軽いわけだ。
昔取った杵柄というわけではないが、このボードは乗れるだろう。
そしてこれはメイヘムからの回答だからと、自らを納得させる。
いつも言っているポジティブシンキング(前向き思考)ですね。
浮力が足りないであろうボードを腕に挟み、自信を持っている風に浜を歩いていると、向こうからジョン(・ペック)がダブルストリンガーを持ってやってきた。
少し世間話をして、一緒に沖に出ることにした。
裸でも熱いのにジョンは長袖スプリングを来ている。
ワックスの塗り方も渋いし、なんといっても眼光の深さにやられてしまった。
さすが1960年代のレジェンドだけある。
しかも超アンダーグラウンドだけど、ジョエル(・チューダー)がジェリーさんと共に愛してやまない伝説のサーファーだ。
なんでも仕草がかっこいいなあ。
ちなみに彼はトヨタ・タコマ4WDに乗っている。(これもかっこいい)
さてさて、サーフボード話に戻る。
浮力がないけど、パドルは進むぞ。
これなら大丈夫というくらい進む。
きっとレイルは薄いけど、ボリュームがあるのだろう。
コンケイブの揚力かなあ。
沖に出ると、すぐに波は来なかった。
早く乗りたくて、今か今かと水平線を見ながらワクワクしながら待っていた。
やがてセットのラインが見えた。
昨日より西うねりっぽいので、ピークの芯より少し肩側に移動しながらテイクオフ。
斜面は切り立ち、ブレイクが速いので走り抜けるだけだったが、この加速に驚く。
ダックダイブのバランスもすばらしく、海面に上がってきてもぐらりともしない。
なんでだろう?
浮力かバランスなのかは不明だが、浮かぶとすぐにパドリングを始められるのはありがたい。
戻る途中にジョンがセット波の一本目を乗った。
おおー、いきなりワイプアウトだ!
なぜか無性にかっこいい。
ワイプアウトでさえも伝説に立ち会っている気がして、体が昂揚する。
「イエー、ジョンさん!」
と心の中で叫んだ。
次の波はレイト気味だったが、少し無理やり降りると、そのまま浅いバレルに包まれた。
水のカーテンがきれいだなあ。
ジョンさんも見ている。
うれしいなあ、とフェイスに出てきたらもう最高速に達し、カットバックで戻る。
フィンからキュューンと高音を出しながら波しぶきが上がっているのだろう。
ターンをしているのが気持ちいい。
フックに戻して、セクションエンドに引っかけるようにリッピング。
!!
ボードの返りが速い。
そのまま乗りつぎ、インサイドでロールインからフローターのアクション。
今週はRNF、Q-RNFとカービング傾向の強いボードを乗り込んできたからだろうけど、一瞬だけASP選手の気持ちとなるような錯覚に陥る。
加速。
あっというまに最高速を越えるものだから、ターンのタイミングを逃し、走りすぎてカットバックをしてしまった。
少し速度を抑えめとし、ターンをセクションにはめこんでいったら大正解。
これも自分のサーフ能力がこのボードによって、エキスパート級となった気がし、感慨深く波待ちしていたが、次の波でワイプアウト。
それを見たジョンが笑っている。
俺も笑顔。
このボードデザインは、小波有利と謳っているだけあり、加速感、ターンの回り込み、テイクオフの安定性、すべてに満足し凱歌をあげる。
【有名なバックウオッシュ】
さてさて、そろそろまとめないとね。
現代のシェイパーは、みんな小波用ボードで勝負しています。
いろんな珍しいボードデザインが出つくして、どんなのがでてもユーザーはびっくりしません。
そこにクラークフォームが昨年倒産し、さまざまな新素材が登場しました。
その隙間を埋めるためにオーストラリア産、スペイン産、メキシコ産のブランクスが流行しました。
そこで登場したのが、羽根のような新EPS素材、そしてこのオーストラリア産の真っ白なブランクスです。
こんなボードを持てば、「えー?こんなに軽い」、または「このデザインかっこいい!」と話題がふくらんでいきます。
いまは百花斉放(ひゃっかせいほう=いろいろな花が一斉に開く意味)
の時代だからこのように感じたままのインプレッションを書いてみた。
しかも自分のアイディアだったデザインが世界のトップシェイパーによって形になり、新素材を組み合わせたボードを使って、太平洋の真ん中の波に乗るというのはやっぱり凄いことですね。
(了、11/27/06)
これを書いた後、自らの文章を「客観性」という言葉で確信し、ここに公開します。
日本原産。
食用。
独特の刺激性のある香味を持つ。
そのワサビではなく、ここではサーフボードのワサビのお話です。
こんな始まりは古典的だなあ、と自分で思います。
さて、このワサビはこのNAKISURFをスタートさせる際に「何か目玉商品はないかなあ?」とメイヘムに話して、俺はSD2のバージョンアップを考えたのです。
ロスト社のベストセラーSD2。
これはフラットデッキ気味の少し厚めのレイルでした。
小波はいいけど、パンチが出る波だと操作が少しむずかしかったので、思いきってテーパーレイルを提案して、シャークから盗用した幅広なアウトラインで回転性能を引き上げました。
それをテイルで絞るのは、ダブルバンプ・ウイング。
メイヘムが長い間アイディアとして持っていて、それをこのモデルで実現しました。
そして面積のあるラウンドスクアッシュで波へのパンチ感を高めます。
最近シャークモデルが流行していますが、小波でも限りなくシャープな波乗りをしたい人への提案なのです。
複雑なボトム形状はメイヘムのお家芸。
広く長いシングルコンケイブの中に、さらに2本のコンケイブを彫り込み、トライケイブとし、加速性能と操作性を確保しました。
メイヘムと話をすると、アンディ・アイアンズにトラッスルズWCT戦でワサビを渡したらものすごく気に入って、このデザインを2007年度のSD3とすることにしたそーです。
ワサビはNAKISURFと日本正規代理店専用だから、アメリカでは少し仕様を換えて、SD3だなんて憎いね。
「トヨタ車がアメリカでものすごく評価され、しかも売れている」と聞かされたような、誇らしい気持ちとなった。
さて、11日前に届いたワサビ。
ここでも書いたけど、最初にAVISO RNFに乗り、それからQちゃんことクアッド・ラウンドノーズ・フィッシュに乗り続けていた。
乗らなかった理由はこのペラペラのワサビには波が大きすぎたから。
それだけ。
フィンはFUTUREボックスだったので、クアッドフィンのサイド2枚をつけて、バックフィンにはVF460を取り付けた。
かっこいい。
マット(・アーチボルド)のシグネチャーモデルのアストロデッキを付け、ワックスアップしていざ出撃!
ワサビはカリフォルニア原産のサーフボード。
それをここノースハワイのノースショアで試すことは究極のテストなんだろうな。
さて、最近毎日参拝しているソフトサンドに着いた。
ここはリーフの廻りに砂が付き、この10日間はキラみたいなコンディションとなっている。
今日からようやく波は下がり、ワサビの出番が来たのです。
ここを簡単に説明すると、大きな砂浜が左右に3kmほど拡がり、ここにだけ浅いリーフが突き出ている。
その一番沖にバレルオンリーの浅いリーフがあり、そしてリーフと砂ミックスのバレル&リッピングピークはセカンドセクションと呼んだ。
コーナー沖のメインブレイク、手前にリッピング3連発できるインサイド。
どこでサーフしてもディープな感覚となります。
それほどまでに波は分厚く、掘れ、強く、斜面は長くと、波乗りのエッセンスが詰まっています。
上手く乗り継ぎ、砂浜に立つと、ロマンチックで胸にしみいる風情となる、そんな場所。
手強くてやさしく、大らかで清らか。
女の人に例えるとそんな波。
さて、俺のボードサイズは…。
えーと、5'10"x19"x2"と書いてある。
んー、これじゃASPサーファークラスの浮力だよ。
道理でペラペラで軽いわけだ。
昔取った杵柄というわけではないが、このボードは乗れるだろう。
そしてこれはメイヘムからの回答だからと、自らを納得させる。
いつも言っているポジティブシンキング(前向き思考)ですね。
浮力が足りないであろうボードを腕に挟み、自信を持っている風に浜を歩いていると、向こうからジョン(・ペック)がダブルストリンガーを持ってやってきた。
少し世間話をして、一緒に沖に出ることにした。
裸でも熱いのにジョンは長袖スプリングを来ている。
ワックスの塗り方も渋いし、なんといっても眼光の深さにやられてしまった。
さすが1960年代のレジェンドだけある。
しかも超アンダーグラウンドだけど、ジョエル(・チューダー)がジェリーさんと共に愛してやまない伝説のサーファーだ。
なんでも仕草がかっこいいなあ。
ちなみに彼はトヨタ・タコマ4WDに乗っている。(これもかっこいい)
さてさて、サーフボード話に戻る。
浮力がないけど、パドルは進むぞ。
これなら大丈夫というくらい進む。
きっとレイルは薄いけど、ボリュームがあるのだろう。
コンケイブの揚力かなあ。
沖に出ると、すぐに波は来なかった。
早く乗りたくて、今か今かと水平線を見ながらワクワクしながら待っていた。
やがてセットのラインが見えた。
昨日より西うねりっぽいので、ピークの芯より少し肩側に移動しながらテイクオフ。
斜面は切り立ち、ブレイクが速いので走り抜けるだけだったが、この加速に驚く。
ダックダイブのバランスもすばらしく、海面に上がってきてもぐらりともしない。
なんでだろう?
浮力かバランスなのかは不明だが、浮かぶとすぐにパドリングを始められるのはありがたい。
戻る途中にジョンがセット波の一本目を乗った。
おおー、いきなりワイプアウトだ!
なぜか無性にかっこいい。
ワイプアウトでさえも伝説に立ち会っている気がして、体が昂揚する。
「イエー、ジョンさん!」
と心の中で叫んだ。
次の波はレイト気味だったが、少し無理やり降りると、そのまま浅いバレルに包まれた。
水のカーテンがきれいだなあ。
ジョンさんも見ている。
うれしいなあ、とフェイスに出てきたらもう最高速に達し、カットバックで戻る。
フィンからキュューンと高音を出しながら波しぶきが上がっているのだろう。
ターンをしているのが気持ちいい。
フックに戻して、セクションエンドに引っかけるようにリッピング。
!!
ボードの返りが速い。
そのまま乗りつぎ、インサイドでロールインからフローターのアクション。
今週はRNF、Q-RNFとカービング傾向の強いボードを乗り込んできたからだろうけど、一瞬だけASP選手の気持ちとなるような錯覚に陥る。
加速。
あっというまに最高速を越えるものだから、ターンのタイミングを逃し、走りすぎてカットバックをしてしまった。
少し速度を抑えめとし、ターンをセクションにはめこんでいったら大正解。
これも自分のサーフ能力がこのボードによって、エキスパート級となった気がし、感慨深く波待ちしていたが、次の波でワイプアウト。
それを見たジョンが笑っている。
俺も笑顔。
このボードデザインは、小波有利と謳っているだけあり、加速感、ターンの回り込み、テイクオフの安定性、すべてに満足し凱歌をあげる。
【有名なバックウオッシュ】
さてさて、そろそろまとめないとね。
現代のシェイパーは、みんな小波用ボードで勝負しています。
いろんな珍しいボードデザインが出つくして、どんなのがでてもユーザーはびっくりしません。
そこにクラークフォームが昨年倒産し、さまざまな新素材が登場しました。
その隙間を埋めるためにオーストラリア産、スペイン産、メキシコ産のブランクスが流行しました。
そこで登場したのが、羽根のような新EPS素材、そしてこのオーストラリア産の真っ白なブランクスです。
こんなボードを持てば、「えー?こんなに軽い」、または「このデザインかっこいい!」と話題がふくらんでいきます。
いまは百花斉放(ひゃっかせいほう=いろいろな花が一斉に開く意味)
の時代だからこのように感じたままのインプレッションを書いてみた。
しかも自分のアイディアだったデザインが世界のトップシェイパーによって形になり、新素材を組み合わせたボードを使って、太平洋の真ん中の波に乗るというのはやっぱり凄いことですね。
(了、11/27/06)
これを書いた後、自らの文章を「客観性」という言葉で確信し、ここに公開します。
待ちに待ったAVISO-RNF/プロフィニッシュ・ホワイトが届いた。
1994年末にRNF(ラウンド・ノーズ・フィッシュ)をメイヘムに作ってもらって(当時はロストサーフボードは存在していなかった。あったとしてもメイヘムサーフボードに洋服のロストロゴを入れていただけ)、以来合計4本オーダーしたこの丸いノーズの愛嬌たっぷりのサーフボードに中毒を起こし、大波から小波までずっと乗っていた。
ある日、メンタワイに行き、あまりのRNF中毒で普通のボードを乗っていなかったせいでガンタイプのボードに全く乗れず、それから遠ざけていた。
AVISO購入も初めてで、大きな理由はみなさんと同じく予算で、なかなかこの値段は出せないでいたのだった。
実は何回かサンクレメンテで弊社柳瀬のAVISO-RNF RNF5'6"を乗らせてもらったが、アルコール中毒患者が更生中に酒を飲むように、「決して深入りしない」と心に決めて乗っていた。
だから深入りはしていなかった、
ちなみに12年前のRNFもまだ現役で所有している。
私はボード価格を乗った年数で割る癖があり、最初のこのRNFを計算してみると、
これはメイヘムに350ドル払ったので、1年あたり29ドルの計算となった。
次に波乗りをした回数で割ってみると、初年度およそ200回、翌年100回、3年目以降を月に2回乗ったとして24x10年=240回。合計540回ですね。サーフィン一回で64セント(77円)という計算となった。
そしてまだここにボードがあるからこれは十分元は取った類い希なボードであるといえる。
このAVISOは何年持ってくれるだろうか?
報告されている耐久性から考えると、軽く20年はいけそうだ。
20年後は61才。
いまだにバックドアに乗る千葉公平さんが54才。
すると不可能ではないことに気が付くはずだ。
ずっとこのボードに乗れる体型と技術を保っていたい。
さて、今回2006年新作クアッドと共に届いたRNFは、昔にくらべて少し細身になった気がする。(写真参照)
これを例えると、「初恋の人に会ったら、白く、若く細くなっていて驚いた」というのが印象だろうか。
付属していたリーシュプラグ兼用の水栓を締め、AVISO専用FUTUREフィンTー1を取り付け、アストロデッキを貼って、ボードを手の平で叩くと中空ボードの特徴である「よく響く音」がボンボン!とする。
このプラグだが、まれに初期不良があるそうで、NAKISURFでは今まで別売りだった「予備プラグ」と、取り付け時に潤滑と水の侵入を防ぐ役割の「専用グリス」を購入者にサービスでお付けすることにしました。だからこれからの購入者はプラグがダブルで付属します。
ワックスをノーズまでびっしりと塗り、長いレフト波の闘牛ポイントに持ち込み、初恋のボードとサーフィング。
ん!?
パドルが違う、同サイズのボードより少し速いかも。
これは推測ですが、中空のため推進力が違うのですね。
それにデッキが柔らかいので、トランクスでパドルをしても胸骨が痛くならない。
実はこの痛みにはいつも悩まされていて、ウエットを着たり、胸をあまり反らさないようにして解消していたが、AVISOはそんなことは気にせずパドルできるようになった。
その高強度からボードが硬いものだと思っていたけど、うれしい感触。
闘牛はパーフェクトの胸程度が沖からゆっくりとブレイクしている。
夏のブレイクなので、こんな季節は無人だ。
新品のボード、無人のパーフェクトのコンビネーションにうれしくなる、沖でボンボンとマークのあたりを強く叩くと、海面が音で共鳴した。
きっとイルカがびっくりしているに違いない。
一本目からRNF、AVISO節全開。
早いテイクオフからするするとフェイスに出て、軽くトップターンしてボトムに落とし、リップの際めがけてグンと上がり、崩れたリップにドカン、またボトムに降りて、リップにバチリと、少しショルダーが切れてきたのでポケットターンでフックに軽く戻り、ポケットでテイルを踏みつけて加速する。加速したらショルダーの先まで出て、レイルの向きを急激に長く入れ、ラウンドハウスカットバック。
波の向きが変わり、バックサイドからフロントサイドの世界となって、迫り来るリップに引っかけるようにして、1986年のOPプロのトム・カレンのようにリップの端に引っかけてレイバック・リエントリーで波の中に戻り、もう一度二度とターンをしてキックアウト。
うーん!
シャンパンを一気に飲み干したような爽快さが体中に拡がり、しばし恍惚となる。
余談だが、辛口の最高級のシャンパンを「ブリュット(brut)」と呼ぶが、このAVISO-RNFはRNF界のブリュットだろう。
何本か乗り、確かめるようにターンのタイトさ、正確さを味わうがそれはやはり本物だった。
このカチリ、カチリとした乗り味は通常フォームでは味わえない。おまけにノーズライディングもばっちり決めてしまった。
翌日、これは今日のことですが、島の北西にあるソフトサンドに行くと、4〜5フィートの波が届いていた。
浅い海底に分厚いリップを叩きつける、本気系のハワイ冬波。むろんここはノースショアである。普通のボードだったら折れてしまうような波の中をAVISOで漕ぎ出る。
波は高さでなく、その強さ、厚みであるといつも思っている。
その範囲ではこの波は耐久性のテストと、このデザインでは適正外の大波となるだろう。
時速2キロくらいはある強い流れの中、苦難のゲッティングアウトで沖に出る。
実は途中インパクトの真下に入ってしまったことが3度あり、ボードを投げて潜ったけど、折れずに無傷。どーだどーだ。
ラインナップに出ると、深い水深から浅い棚に乗り上げていて、砂は波の後ろ側まで吹き出し、波の中は段となって、リップは遠くまで飛んでいる。
よく観察して、これは普通には乗れないな、と決意し、セクションエッジからワイプアウト覚悟で「えいやっ!」と波の中に飛び込むように滑り降りる。
巻き上げる水の壁の中を剛性の高いボードはグイーンと降りていく。
速すぎる速度に合わせて、ゆっくりと薄く長くレイルを入れボトムターンをすると、
きれいに曲がってくれ、波のフック中腹にとどまるようにバレルイン。浅い入りだったので、すぐに脱出し、うれしくなってそのまま波の壁を全部使ってスイーピングカービング。
水深が深い位置に到達したようで波の半分泡、下が斜面のスケーティングエリアでそれまで付いていたスピードを使って、自由自在にターンし、岸に向かう。
流れが強いからロングライドしたら、一度浜に上がって走って戻ったほうが早いのだ。
走りながら思ったけど、こういう強く硬い斜面はベクターハチェットか、3Dフィンのようなホールド性の高いフィンがいいかもしれない。次回取り付けてテストしてみよう。
AVISOの耐久性で強度を信じ、カーボンファイバーの剛性でターンを味わい、軽量なのにしっかりとしたサーフボード。
膝小波、ちゃんとしたリーフ波にも、そしてこんな本気波に使用できる。
これをAVISO-RNFの三段活用という。
そのまま何本か乗り、一度上がり、Q-RNFと同様に岸近くに浮かべてみて眺めているとおばけのQ太郎のQちゃんみたい。だけどクアッドの方に「Qちゃん」と名付けてしまったから、これには何という名前をつけようか少し悩んだ。
ゆったりと明治文人たちが書かれた本を開き、また海に入って少しすると美しい夕陽となりそう。慌てて上がり、カメラを持ってショアブレイクをうろうろしていると、暖のかたまりはニイハウ島の後ろに沈んだ。
雲が流れ、青かった空に暖色の縁をつけている。
それはまるで黄金色の粒子が集まり、歓喜のパーティをしているように見えた。
写真右端にはその強靱な波が写っていて、これを見たらうれしさが体をよじ登ってきた。
そんな波だった。
(了、11/19/2006)
[おまけ]
AVISOの調子がすばらしかったから、AVISOの色々について資料を取り寄せて調べてみました。
ここからは科学者のレベルの読破力が求められます。
エンジニアとか、科学が苦手の人はここまでとしましょう。
俺も書いていて、頭が混乱しました。
勉強は大変だけど、興味があるからなんとかやり遂げたAVISOの歴史と、その材質の詳細です。
ちなみに元原稿は英語だったから新しい単語だらけ。辞書を引いたり『ウィキペディア(Wikipedia)』というWEB百科事典を使って調べたのです。
まずはWHY?ということから
「なぜAVISOを製造することを始めたのか?」
サーフボードはいまだに半世紀、つまり50年間も創始当時の材料で作られている。
そこで科学と技術が進んだ今、新世紀理想のサーフボードを製作するために結成されたのがAVISO製作チーム。
後で触れるけど、サーフボードには最適の材質、炭素繊維(カーボンファイバー)を使って、中空のサーフボードを作るために加工エンジニアリング技術を専攻する博士をAVISOは雇い入れました。
軽量で、強く、しかも構造のデザインが理想的でなければタフな使用をされるサーフボードの製造は難しいからです。
そこで航空はもとより、国防、果ては宇宙産業からの技術を取り入れました。
中空の秘密は、そのスプリングのようなクッション性とサーフボードにとって最適なしなり。ターンをするとデッキ側だけ凹みます。これはボトム形状は変化しては規則的な運動に適さないという断固たる理由があるのです。
現在AVISOは、契約したシェイパーから届けられたマスターシェイプを使用し、高度に調整した機械を用いて型を起こします。
(2006年11月時点で、AVISO社は12メーカーと契約し、35モデルのサーフボード設計を行っています)
製造材料は3つ(リーシュプラグを除く)
1. 航空機で使用している高品質カーボンファイバー
2. 耐水性専用高密度フォーム
3. エポキシ樹脂
これらの材質は徹底的に管理され、AVISO直営工場で高温、高圧でそれぞれ型取られ、融合されます。
高品質カーボンファイバーを使用する理由は4つ
1. 軽量性
2. サーフボードに適した高伸縮、負荷係数
3. 抜きんでたフレックス性能、そして理想的膨張係数
4. 耐久性(強度、年月)
耐水性専用高密度フォームを使用する理由は3つ
1. 圧縮されているため強度に強い。通常のポリエチレンフォームの3倍の強度を誇る
2. 耐水性
3. エポキシ樹脂を使用できること
そのエポキシ樹脂の優れた点は
1. 強度と重量(=軽量)の比率。通常のポリエスターと比べると非常に高い
2. 全面的にポリエスターより優れているため
こんな意味のある材料を使っていたとは!
AVISO社はそれを使用した理由となるいくつかの結果を公開しているので、それを下記します。
【PMI→慣性の極性運動率について】Polar Moment of Inertia (PMI)
PMI(慣性の極性運動率)が高ければ高いほど慣性に対して反応してしまいます。
サーフボードに求められるのは、より低いPMIで、AVISOはサーファーのコントロールにより速く、確かに応答するという低数値のPMIを持っています。
今度はボードがしなってから戻るまでの
【COR→回復係数】Coefficient of Restoration (COR)
の計測結果です。
どれくらい速くそのオリジナルの形を取り戻すか、というのがCORの数値です。
サーフボードには高いCOR値が求められていて、AVISOは他の材質に比べて非常に高いCOR値をベンチテストでマークしています。
CORは波の例えばスナップバックをし、ボードがフックに入った瞬間には正常のデザインに回復しているため、例外なく(規則的)にボードを加速推進させるために役立てるのです。
次は
【MOI→慣性運動率】Moment of Inertia - (MOI)
これが高いと「慣性を支配することとなる」つまりボードをコントロールしづらいという実験結果がある。
AVISOはMOIも低数値をマークし慣性に支配されづらいサーフボードを獲得したのです。
次は係数についてのお勉強。
「カーボンファイバー対(VS)通常クロスの材質対決」
負荷、伸張、そして圧縮の割合値
*psi=重量ポンド毎平方インチ(Pounds per Square Inch)
1. カーボンファイバーはは3400-3500万psi VS 通常クロスは1000万psi
2. 伸縮性能は、通常クロスを1とすると、カーボンファイバーは1/3の量。
3. カーボンファイバーの含有量が増える毎に耐久性が倍増していきます。(通常クロスは倍増しない)
ここからが私たちにとって重要です。
AVISOサーフボードは表面より裏側まで、耐水性を持っています。
もし、傷やプラグ内から内部に水が入っても問題ありません。
もし入ってしまった場合はリーシュプラグを開き、そこから水を排出し、乾かせば、強さ、重量は一切変化しません。
ということは内部を水洗いしても大丈夫ということで、少し前に弊社柳瀬がブログでやっていたのはこのことだったのね、と納得。
その柳瀬と話し、NAKISURFでは修理不可能の初期不良AVISOボードに対して無償交換致します。これでかなり安心です。
ですが、そこまで喜ばないでください。修理可能な傷は例外なので、エポキシ樹脂で修理していただくことになります。
柳瀬はAVISOメイン倉庫に毎週出入りしていますが、今まで見た初期不良は接続部が大きく割れている、またはリーシュプラグ付近の裂傷ということです。
まだサーフボードを折ったのは報告されていないとも聞きました。
余談ですが、AVISOを所有する
プロサーファーはクリス・ワード(彼の長女マリアとノアがサンクレメンテでクラスメイトでした)、パット・オコーネル、トム・キャロル、ドン・ジョンストン(メンタワイと、ウルワツで偶然会ったな)、タマヨ・ペリー、ダスティン・バーカ(カウアイですね)、クリスチャン・フレッチャー(ハーチャンの長男)、ボー・ヤング(このあいだ横浜のグリーンルーム・フェスティバルにいたな)、パンカー・パット(パンちゃん!)、CJ・ネルソン、デイブ・
ラスタビッチ、シエィ・ロペス(カリチェ家の持ち主)他です。
クリス・ワードは知らぬが、マリアはわかるノア
後日本の西井さんも何本か持っているし、とうとう俺も所有したからふたりしてAVISOのリリースに載せてもらおうかなあ。(笑)
無人のカリチェ岬の俺。COSTA RICA LOVE!
クアッドRNFの話をスパーキにしたら朝すぐに来て持って行ってしまった。写真を撮ろうと思っていたのだけど、まあいいか。
で、今AVISO-RNFについてのインプレッションを書こうとしているんだけど、AVISO社から資料を取り寄せたら宇宙船、つまりスペースシャトルについて書いてあるように高レベルの科学的な話が満載されている。
書かれているレポートはやはり英語なんだけど、こんな単語ってあったの?というような科学単語ばかりで、辞書引きまくり。まあ2カ国語完璧のマーボーさんならわかるだろうけど。
でもAVISO社は博士が経営するだけあって、エンジニアリングについてもりだくさんで、読み進む内にだんだん賢くなってきた。
でも最新の材質は本当にすごいね。
炭素繊維
理想的膨張係数
負荷係数
高温、高圧で融合
という字の羅列を見ていると痺れてしまった。
これを読んでから、ここにあるAVISOボードを見ると、さっきより輝きが増したような錯覚におちいった。
今回のオーダーは「なるべく穏便に」という俺のモットーから白のプロフィニッシュを選んだ。
ザラザラしているのでグロスフィニッシュと違い滑らないから俺好み。しかもグロスより安い。
ノーズまでワックスを塗っている間、これに薄い茶色のスプレーペイントを塗って、10年落ちのサーフボードを表現しようと考えた。
修理の後風のステッカーとかあったらいいのに。と高品質に恐れをなしているのか、「穏便」から「見た目旧式」へと考えは移行している。
話が変わるけど、江戸時代の武士は商人より階級が高く、物質的な豊かさより、精神的な「名誉」があったと聞いた。
サーフボードは俺たちに取って刀そのものだけど、この刀は武士と同じく名誉そのものです。
俺のその時代に生まれて、武士をしていたのなら国中を奔走し、銘刀を手に入れていたのだろうか。
名誉とは各自がそれぞれ違う形で持つものだけど、サーファーはそれぞれの名誉を心に秘めている。
その昔、三浦さんという人が鎌倉七里ヶ浜にいて、波乗りを始めたばかりの俺の面倒を見てくれた。
彼はサーフボードを刀と同じように大事にして、刃こぼれ(傷)が付こうものなら、すぐに乾し修理していたのが印象的だ。やはり車もピカピカだった。
2006年10月、正面での三浦さん
その彼がある日、七里の正面でものすごいリッピングを決めて、それを真後ろで見た俺は「サーフボードが波の後ろに全部突きだしてきて、戻っていった」という事実に感動した。
それを決めた三浦さん、顔がうれしそうだけど、それをこらえるために「なんだ、この野郎!」となぜかめちゃくちゃ怒っている。(笑)
近くまで来た彼に「いやあすごかったです。バックフィンの下に付いている小さいロゴまで見えました」と詳細報告したら「本当か!そうかそーか」とヨロコビながらまだ怒っている。
夕方まで海に入り、目の前のオーシャングライドにシャワーを浴びに行くと、その三浦さんが待ちかまえていて、「お前今晩何やっている。焼鳥屋に行くか?」と聞かれ、その頃金銭的なヒッピーだった俺は2つ返事で行くことにした。
焼き鳥屋のビールで乾杯した俺は、まずあのリッピングの凄さを三浦さんにもう一度伝えた。うれしくなった三浦さんは「あれも食え、これはどうだ?」と大盤振る舞い。
そして「親父!ビールもう一本くれぃ」と三浦さんがビールを俺に注ぐたびに太く小さな声で
「もう一回言ってくれぇ〜〜」
とリッピング報告の繰り返し。
4回目だったかな、急にやさしくなって「すいません、もう一回言ってください」と言われたときは吹き出しそうになりました。
そんなこんなで夜は更け、今思うと本当にいい時代だったんだなあ。としみじみとしてしまった。
それは彼の名誉、それを見た俺の名誉。
それはほんとうに小さいのだろうけど、幸せに生き続けるためには重要なことだと思う。
鎌倉の三浦さん、今何をやっているのかなあ?
(以下は2008年10月30日加筆)
この三浦さんは昨年波乗りに復帰し、ノースハワイまで来て「ドドゲの三浦さん」としてこのブログの登場人物として復活しました。
2008年5月には南島にも行きました。
2008年の松風王国は、平塚七夕にも来ていただきました。
2008年10月10日の逗子でのドドゲナイトはこちらです。
クアッドRNFの話をスパーキにしたら朝すぐに来て持って行ってしまった。写真を撮ろうと思っていたのだけど、まあいいか。
で、今AVISO-RNFについてのインプレッションを書こうとしているんだけど、AVISO社から資料を取り寄せたら宇宙船、つまりスペースシャトルについて書いてあるように高レベルの科学的な話が満載されている。
書かれているレポートはやはり英語なんだけど、こんな単語ってあったの?というような科学単語ばかりで、辞書引きまくり。まあ2カ国語完璧のマーボーさんならわかるだろうけど。
でもAVISO社は博士が経営するだけあって、エンジニアリングについてもりだくさんで、読み進む内にだんだん賢くなってきた。
でも最新の材質は本当にすごいね。
炭素繊維
理想的膨張係数
負荷係数
高温、高圧で融合
という字の羅列を見ていると痺れてしまった。
これを読んでから、ここにあるAVISOボードを見ると、さっきより輝きが増したような錯覚におちいった。
今回のオーダーは「なるべく穏便に」という俺のモットーから白のプロフィニッシュを選んだ。
ザラザラしているのでグロスフィニッシュと違い滑らないから俺好み。しかもグロスより安い。
ノーズまでワックスを塗っている間、これに薄い茶色のスプレーペイントを塗って、10年落ちのサーフボードを表現しようと考えた。
修理の後風のステッカーとかあったらいいのに。と高品質に恐れをなしているのか、「穏便」から「見た目旧式」へと考えは移行している。
話が変わるけど、江戸時代の武士は商人より階級が高く、物質的な豊かさより、精神的な「名誉」があったと聞いた。
サーフボードは俺たちに取って刀そのものだけど、この刀は武士と同じく名誉そのものです。
俺のその時代に生まれて、武士をしていたのなら国中を奔走し、銘刀を手に入れていたのだろうか。
名誉とは各自がそれぞれ違う形で持つものだけど、サーファーはそれぞれの名誉を心に秘めている。
その昔、三浦さんという人が鎌倉七里ヶ浜にいて、波乗りを始めたばかりの俺の面倒を見てくれた。
彼はサーフボードを刀と同じように大事にして、刃こぼれ(傷)が付こうものなら、すぐに乾し修理していたのが印象的だ。やはり車もピカピカだった。
2006年10月、正面での三浦さん
その彼がある日、七里の正面でものすごいリッピングを決めて、それを真後ろで見た俺は「サーフボードが波の後ろに全部突きだしてきて、戻っていった」という事実に感動した。
それを決めた三浦さん、顔がうれしそうだけど、それをこらえるために「なんだ、この野郎!」となぜかめちゃくちゃ怒っている。(笑)
近くまで来た彼に「いやあすごかったです。バックフィンの下に付いている小さいロゴまで見えました」と詳細報告したら「本当か!そうかそーか」とヨロコビながらまだ怒っている。
夕方まで海に入り、目の前のオーシャングライドにシャワーを浴びに行くと、その三浦さんが待ちかまえていて、「お前今晩何やっている。焼鳥屋に行くか?」と聞かれ、その頃金銭的なヒッピーだった俺は2つ返事で行くことにした。
焼き鳥屋のビールで乾杯した俺は、まずあのリッピングの凄さを三浦さんにもう一度伝えた。うれしくなった三浦さんは「あれも食え、これはどうだ?」と大盤振る舞い。
そして「親父!ビールもう一本くれぃ」と三浦さんがビールを俺に注ぐたびに太く小さな声で
「もう一回言ってくれぇ〜〜」
とリッピング報告の繰り返し。
4回目だったかな、急にやさしくなって「すいません、もう一回言ってください」と言われたときは吹き出しそうになりました。
そんなこんなで夜は更け、今思うと本当にいい時代だったんだなあ。としみじみとしてしまった。
それは彼の名誉、それを見た俺の名誉。
それはほんとうに小さいのだろうけど、幸せに生き続けるためには重要なことだと思う。
鎌倉の三浦さん、今何をやっているのかなあ?
(以下は2008年10月30日加筆)
この三浦さんは昨年波乗りに復帰し、ノースハワイまで来て「ドドゲの三浦さん」としてこのブログの登場人物として復活しました。
2008年5月には南島にも行きました。
2008年の松風王国は、平塚七夕にも来ていただきました。
2008年10月10日の逗子でのドドゲナイトはこちらです。
コールが開発した4フィン=クアッド。そのシステムを搭載したファイアーフライの爆発的な人気と性能からそれをコピーするシェイパーが増え、今では4フィンが当然のような気もしてきた。
メイヘムもその例にもれずクアッドをシャークに移植し、そして名作ラウンドノーズフィッシュに4フィンをセッティングしたのがこの『クアッド・ラウンドノーズ・フィッシュ/Q-RNF』です。
「RNF、バレットフィッシュ系の恐るべき中毒性」を知る私は、今までこういったボードに乗ることを避けていたのですが、とうとう来るべき時が来たようです。
メイヘムに「時間がある時でいいからね」とオーダーしたので、待つこと4ヶ月強、それからノースハワイまで船便で発送したので手元に届くまで5ヶ月かかりました。
ちなみに対決させようとしているコールのオリジナルモデルである『バット(バレット)・フィッシュ・クアッド』はこれからシェイプする予定。これはご存じの方も多いのですが、
「9月のコールショック」でコールは今、お客様優先でボードシェイプを行っているのだから仕方がない。ということで対決は12月以降となります。
さて、このQ−RNFは5'5"x19"x2”
今話題のLokboxフィン仕様でオーダーしました。
黒いQUADが付属してきました。
余談ですが、このロックボックスは友人である巨漢のプロサーファー、ケーシー・カーティスが考案したものです。
発売後5年は経っていますが、今まで私が思う「Aクラスというカテゴリー」とはなぜか考えがたく、オーダーをしないでいたのです。そして前回カリフォルニアに行った時に彼と会ったのですが(参照)、彼の装着している新作フィンを見せてもらうと、その完成度に驚き、すぐにオーダーした次第です。
ほぼ無限にサイジングされるハンドメイドフィンが魅力のロックボックスフィンの「クアッド」を4枚きちんと装着し、アストロのネイザンバットモデルを張り、いざ!とホワイトハウスへ。
波のサイズは胸くらい。
一本目にいい波が来て、セクションから思い切り体重を乗せてボトムターンすると、グイーっと加速し、波のかなり前に出てしまったのです。ここは斜面が緩慢なカットバックのセクションなのですが、イメージではスラッシュさせるべく、体をたたんでいたのでそのまま波の上、しかも平らに近い場所でボードを切り返したら、グウゥゥーとボードが波の中に(リエントリー) 戻れたのです。
英語で、サーフボードの性能について「forgiving」と表現されているのですが、このボードはまさしくそのフォーギビングで、それはつまり「許容範囲が広い」という特性を持っているボードのことです。
そのまま次の波に。
今度はセクションがつながる速く長い斜面が登場しました。考えられることは3つ。
1. 走り抜ける
2. 波の際に当て(リッピング)、抜けていく
3. 崩れるのを待って長い距離のフローターでセクションの最後へ
こんな選択があったのですが、2番を選び出し、切り立った長い斜面の始まりで軽くトップターンし、オフザリップの始まりとしました。ボードは足にぺたりと張り付き、2輪車のクリッピングポイントを通過したような動きのように「クン」と軽くノーズの向きを斜面下に向け、加速した。
そのまま深いボトムターンを長く強く切り、フルスピードで崩れかけたリップの上に乗せるように角度のあるヒッティング。ボードがリップに乗る寸前にテイルに体重を乗せ、レイルを入れ替えると、ズリンと低い姿勢のままオフザリップ。フィンが波に咬みスライドを止め、また滑降し、今度はセクションの終わりで体を前に出しながら、波のショルダー側から一気に引きつけるスラッシュでボードのノーズを一気に逆方向に引きつけます。ザオウッと派手な音をレイルから立てて戻るボード。その独特の速度感覚に魅了された。
泡から外れ、リーフ水深が深くなった波の最後で浮き立ったまま大満足。
テイクオフが通常のRNFより速い、これは4フィンのなせるプレーニング(揚力)なのかなあ、不思議なほど走り出しが速い。ノーズも通常のRNFよりチョンと上がっている。ハングファイブ、スイッチスタンス、なんとエアも思いのままだ。
ランチを食べた後、次は長いレフト波である闘牛ポイントに持ち込み、バックサイドで試すと、やはりやはり、バックサイドのターンの切れ込み感に色気があった。なんというか艶っぽいターンなのだ。ターンを重ねる毎に味がしみでてくるようで、もっとターンをもっと波を!と両手を天にかざしたくなる。
どうやらRNF、しかもクアッドRNFの妖しい乗り味に 引き込まれたようだ。ファイアーフライ(FF)の時もそうだったけれど、新型4フィンというのはやはりかなりの実力派だ。このまま行くと主流は4フィンで、トライは型遅れの日がやってくるかもしれないな。
セッション後、岸近くでボードを浮かべてみるとQ−RNFはまるでオバケのQ太郎みたい。初日にすでに2回のセッションを終え、愛おしいボードに「Qちゃん」と名付けて大事に車に積み、車の後ろで一瞬放心すると、肩を開いて誇らしく構えている自分に気づいた。
エンジンをかけ、ハイウエイを走らせながら晴れ渡った空を見ると、鳥のような雲が浮いている。まるでこころに鳥が入り込んだような気持ちとなり、体が一瞬震えた。(了、11/18/2006)
追記
今日(11/21)ノースショアに6フィートのバレル波が届き、Qちゃんを滑走させてきました。
サイズがあるパワフルな波だと、最高速で滑走し、ボトムが波下面に一瞬張り付いた気がした。
しかし、その張り付いたボトムを起こすようにしてボトムターンすると超加速の上がりが発生しました。
なんでだろう?
不思議なことが起きるのですね。
切り立ったバレル壁でもツインフィンのように抜ける、滑り落ちるということはなく、安定して乗れたことも付け加えておきます。
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プロフィール
名前:Naki 2009 または船木三秀
HP:NAKISURF
性別:男性
職業:専門職
趣味:海
自己紹介:
11年暮らしたカリフォルニアからノースハワイ島に住みかえ、毎日クオリティの高い波で波乗りをしています。
私は波乗り殉教者で、肩書きはプロサーファー、写真家、画家、ルポライター、デザイナーです。
風が創ったさざ波が合わさり、遠くの洋(うみ)から陽の下、夜の中を駈けてきたうねりに乗る、というような気持ちで波に接している。
その欲求と探求心は飽くことがないようで、小さい頃からの夢であった世界の海を旅し、自分なりのアウトプットを続けています。
波を知ることは海を知ること。その深遠無限のインスピレーションを感じ、ゆらゆらと絡まった日々をこのブログで綴れたらなあ、と。
そんな波乗りの奥深さ、その意識や感覚を文章、写真、絵で表現できたらと思っています。
同業の方、同じ夢の方、海が好きな方、波乗りを愛する方、この場でお話しましょう。
ありきたりの道具論に留まらないメッセージをみなさまと創ってみたいのです。
また、カリフォルニア州、サンクレメンテ発のサーフショップ『NAKISURF.COM』も運営しております。
こちらは長年培ったサーフ業界のコネクションを活かし、世界で一番誇れるWEB STOREを目指しておりますので、どうぞご覧になってください!
ぜひ!
どうぞよろしくお願いします。
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