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*(きのうからの続きです)

陽が落ちた国道をひた走り、さらに走る。

真っ暗な山道、つまり大きく曲がりくねった道を右へ左へ車をくねらせる。ヘッドライトが届かない場所は闇なので慎重にゆっくりと進む。

動くものを発見。
よく見ると狸だ。
生で見るのは初めてなのでディティルを見ようと近づくと穴に潜っていってしまった。

俺は化かされているのかもしれない、と自問してみる。

CDで聴いていたニール・ヤングのMY BOYがかかり、ボリュームを大きくした。

ここで聴いていただこうとYOU TUBEを探すが、ニール・ヤング本人のはなく、一般おじさんの個人披露カバーだが、曲はわかるので採用する。

歌詞はこれです。

"My Boy"

Why are you growin' up so fast
My boy?
Oh, you'd better take your time.
Why are you growin' up so fast
My son?

Almost time to live your dream
My boy.
Oh, you'd better take your time.
Almost time to make some plans
My son.

Vacation gone, school is out,
Summer ends year in year out.

Oh, you'd better take your time
My boy.
I thought we had just begun.
Why are you growin' up so fast
My son?

Vacation gone, school is out,
Summer ends year in year out.

Why are you growin' up so fast
My boy?

Why are you growin' up so fast
My son?

俺の息子もどうしてそんなに早く大人になってしまうのだろう?
ずっと子供でいて欲しい。

自分自身も子供でいたい。

やがて小さな集落が現れ、こんな場所(失礼)に人が住んでいるのか!
とオドロク。

やはり化かされているのかもしれない。

そのまま細い道を進むと、防波堤が現れた。
海に違いないと車を停め、防波堤にかけのぼると半月に照らされた海があった。

小さな湾、ささやかな岬が右に出ていて、「明日ここに台風のうねりが届き、噂のライト波が崩れるのだ」
と想像する。

影のようなうねりが幾筋となって、ショアブレイクにズドーンザラザラと玉石の音を響かせている。

全身にゆるやかにひろがる興奮。
「ああサーファーでよかったなあ」と感じる瞬間だ。

とさっき買ったチーズと安い赤ワインを取り出し、まあ一杯。
お腹が空いているせいか、いやロケーションが良いせいか普通のチーズがやたらおいしい。
安ワインだが、こちらも不思議と心に響く味で、ちょっとした饗宴となった。

アイポッドを入れて音を鳴らす携帯プレイヤーで、俺の島唄コレクションを聴き、先週までいた西表島を想う。
あっちでは洞窟野宿で、新月大潮の満ち干きに合わせて生活していた。

なんか遠くまで来ちゃったなあ、としみじみ寝袋にごそごそと入る。

人は誰もいない、誰も来ない。
音もなく、風もなく、聞こえるのは波が浜を打つ音だけ。

夜半、夜露でびしゃびしゃに湿ってしまった寝袋に気づくが、もう面倒なのでさらに深く顔を寝袋に沈める。

それから少し経って寒くなり、目を開けると満天の星空、つまり宇宙が遠くまで拡がっていた。



真上を横切る天の川。
いくつもの流れ星。

全神経を宇宙に集中する。
白、青、黄、赤、オレンジ色の大小、遠近の星、星、星々。
星雲まで見える。

どこか遠くの星でもこうして地球の輝きを見ているのかもしれない。

何千光年も離れた星も見えているのだろう。
とすると、この星々のきらめきは何千年前の過去の光であることに気づく。

すると、この地球の明かりが向こうに届く頃には何千年後となるわけだから、俺もまわりも、もう誰もいないのだ。

宇宙の広さを感じて怖くなる。

メキシコ、フィジー、カウアイでこのような空を見てきたが、
日本でこんなものすごい夜空を見たことはない。

闇に吸い込まれる精神。

俺の宇宙旅行がはじまる。

この視界は宇宙そのものであり、その拡がりは無限に感じ、しばし呆然とした。

寒いのでまた寝袋にもぐり込み、自分の息で冷えた両手を温めながら睡った。

ほんのわずか明るくなった視界が夜が過ぎたことを知らせている。
宇宙は少しづつ姿を隠していく。
寒く、冷たいのでそのまま起き、波を見ると、昨夜と変わらないうねり筋。

少し体を動かしついでに車からZちゃんと、ボディグローブ・ウエットスーツを出し、寝袋の周りにセット。

淡い朝焼けが始まってきたので、その記念写真を一枚カシャリ。



ここでも結局腰以上の波は立たず、台風のうねりは昨日の何本かで終わったことを知る。

でも無人の美しいブレイクにうっとりとし、波乗りのピュアな要素を味わったので大満足。

8時きっかりに始まる集落放送を聞きながら、荷仕度をしてゴミ拾いをしてこの浜にもさようなら。

途中、ファミリーマートで食料を購入しながら携帯を見ると、アンテナが立っているので、すかさず直人さんに電話をする。

「波ないよー、これじゃ当分だめだねー!」

という言葉を聞き、これからZちゃんを積んで温泉巡りをしようと決める。

下田でおいしいかさごの煮付けとちらし寿司を食べて、ゆらゆらと湯に暖まりながら北上する。

(明日の後編に続きます)
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昔「時には星の下で眠る」って本を読んだ記憶を思い出しました。
片岡義男だったっけ。。

人間の意識は無限大で宇宙とシンクロしていくのですね。

のり 2007/06/30(Sat)16:50:02 編集
意識遙
のりさん、
コメントありがとうございます。

その本、ぜひとも読みたくなりました。
意識はシンクロしているのか吸い込まれているのか、塵のような気持ちとなりました。
ふなき 2007/07/02(Mon)17:13:03 編集
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プロフィール
名前:Naki 2009 または船木三秀
HP:NAKISURF
性別:男性
職業:専門職
趣味:海
自己紹介:
 11年暮らしたカリフォルニアからノースハワイ島に住みかえ、毎日クオリティの高い波で波乗りをしています。

 私は波乗り殉教者で、肩書きはプロサーファー、写真家、画家、ルポライター、デザイナーです。

 風が創ったさざ波が合わさり、遠くの洋(うみ)から陽の下、夜の中を駈けてきたうねりに乗る、というような気持ちで波に接している。
 その欲求と探求心は飽くことがないようで、小さい頃からの夢であった世界の海を旅し、自分なりのアウトプットを続けています。

 波を知ることは海を知ること。その深遠無限のインスピレーションを感じ、ゆらゆらと絡まった日々をこのブログで綴れたらなあ、と。

 そんな波乗りの奥深さ、その意識や感覚を文章、写真、絵で表現できたらと思っています。

 同業の方、同じ夢の方、海が好きな方、波乗りを愛する方、この場でお話しましょう。

 ありきたりの道具論に留まらないメッセージをみなさまと創ってみたいのです。

 また、カリフォルニア州、サンクレメンテ発のサーフショップ『NAKISURF.COM』も運営しております。

 こちらは長年培ったサーフ業界のコネクションを活かし、世界で一番誇れるWEB STOREを目指しておりますので、どうぞご覧になってください!

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