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波乗りの
コール寄りそひて
イナリーズに 

うき世のうさを
知るよしもなし

これは「コールボードと俺がイナリーズで波乗りしていると、この世のつらさも全く感じない」という意味の五句体(31モーラ)つまり和歌。
この和歌は、817年前に他界された西行先生からインスピレーションを得ました。

で、今日のお話はバットフィッシュ・インプレッションです。



先週、ニューポートビーチでの膝腰進水式を終えて、そのバランスとスムースさに感激して、コールのロゴがまた輝いた。



このバットフィッシュを受け取るまでには紆余曲折(うよきょくせつ)であった。

メイヘムがコールのクアッドをコピーし、その前にはコールがメイヘムのラウンドノーズフィッシュをコピーしていたのだからそれはしょうがない。

そこで俺はメイヘムのクアッド・ラウンドノーズフィッシュ(Q-RNF)と、このバットマン、じゃなかったバットフィッシュを対決させようと同時にオーダーしたのだけど、その後すぐに「コールショック」が起きてしまった。
以前ここでも書いたが、Q-RNFは「Qちゃん」としていくつもの伝説が誕生した。

コールに「俺が行くカリフォルニア前にはシェイプしておいて、そっちで乗るから」と一月も前から電話で言っておいたのだが、俺の到着初日にようやくプレシェイプが仕上がってきたという状況...。
その後超急ぎでシェイプしてもらい、グラスショップ(巻き屋)で夜なべし、24時間で仕上げてもらったのがこのバットフィッシュ。
よって受け取りも日程最終日、しかも早朝5時と異例の時間だった。
デフォルトでついてくるFUTUREフィンを4枚取り付けていくと、まだ硬化完了していないのか樹脂が柔らかく感じた。
そういえば、最近のこのクアッドフィンにはコールロゴが入っていないんだなあ。
しかもデッキのロゴが逆さま(反転)です。(笑)
そんなことはどうでもいいや。



さてさて、このバットフィッシュはラウンドノーズ系でコールブランドではブレットフィッシュモデルに属する。これはその亜種になるのだろうか。
サーフボード製作工業界の達人でもあり、妖術を使うとされるコールが開発設計した新4フィンモデルだ。
4フィンなのにクアッドの文字はひとつもなく、「バットフィッシュ」という単語だけで全てを表現しているのにも、ネオクアッドの創始者コールならではの自信を感じた。

軽く、密度が細かく、強く、安定していて樹脂が染みこみづらい(重くならない)というUSA製のJUSTFOAMを使用したそうだ。
今回の私のオーダーは準ブラックレーベル(BL)なので、フィン以外はBL仕様となる。
デッキ側にはWARPとD-SIZEクロスの4オンスを各1層づつ、ボトムには4オンスWARP1層。
プロボード製作を20年近く担当している名職人ジェフ・ウエルズが余分な樹脂を巻き付けないように、樹脂を取りすぎて強度を落とさないように完璧にラミネートしてくれた。

改めて詳しくボードを見ると、女性の体のように曲線、つまりカーブだけで形成されたアウトラインと気づく。
スムースな乗り味を実現させるミディアム(ロー・ボキシー)レイルが削り出されていた。テイル付近からコールが言うところのコントロールエッジが効いている。貫禄のレイルタッチにうっとりとして、何度も触れてしまった。
いわば禁断のレイルなのだろうか....。

エントリーロッカーを極限まで抑え、テイルキックを少しリフトアップさせています。
これによってスピード、そしてコントロールという相反するアーニングポテンシャル(earning potential=所得潜在力)をポジティブ側に導いたのですね。

さて、ボードを裏返し、詳細微細のチェックをする。
ボトムコントゥアー(形状)は、ノーズ側からフラット、シングルドーム、その中にダブルバレルコンケイブをフロントフィン(後ろ足部)まで延ばし、テイルエンドでごくわずかのVEEをセットしてある。



このシステムは、コールの考えるところのターンのトラブルの原因となる「歪流」を取り除いた傑作で、現在カリフォルニアのシェイパーはほとんどこのスタイルである。
そして他のシェイパーがこぞって真似をしたバットテイル。

ルーツはダイアモンドテイルから組み替えられたコンセプトスタイルで、テイルアウトラインをばっさり1インチ短くできる。
結果、ライダーはオートマチックに約2.5cmテイル側を踏むこととなり、より激しいパフォーマンスとなってしまう。
本当によく考えられていて、そして理にかなっている。
ケリー・スレーターがサーフィングの天才ならば、コールはボードデザインのそれに違いない。
コール印の魔法をあますところなく使い、短く、丸いアウトラインのサーフボードが持つ特有の「不正確な浮き上がり」を排除し、直感的な、つまり意志のおもむくまま操れる性能を実現しました。



そのバットフィッシュを持ち、イナリーズへ行くと艶のある頭半の波がブレイクしていました。
上等の舞台と、至高、つまりこの上なく高く優れているボードを抱え、俺は踊るように砂浜を走り、海に飛び込んだのです。

何本か至福のターンを経験すると、冒頭に書いた和歌が頭に浮かびました。
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デッキのロゴが
coreに見える☆
t-mean 2006/12/14(Thu)11:02:57 編集
JF
柳瀬様に確認したところ、私のFFにも使用されてました。とても軽くポリでも十分かなって思いました。
このフォームお気に入りました!!
少々青白っぽいフォームですね。
これまたBFほしくなっちゃいました。
markee. 2006/12/14(Thu)11:16:54 編集
コア実験
t-meanさん、
そうです。コールは今日からコアとなりました。

markee.さん、
今このコールとグラスショップが組み、ある研究をしているそうです。
それは軽く、強く、究極の素材だそうです。
もう少ししたらアナウンスしますね。
ふなき 2006/12/14(Thu)11:20:08 編集
世界一
のインプレッションかもしれない。
カズのも凄かったけど、
まさにロングテールのブンガクですね!
得♪ 2006/12/14(Thu)12:42:58 編集
こんにちわ
ロッカーの具合が真横から見れるのは良いですね、本当は在庫も全部横から見えると嬉しいのですが・・・ストックの写真が2枚だけの運用なら正面と裏より正面と横の方がみなさん見たい!とか無いですかね?私は正面と横が取り合えず見たいですね・・写真だと裏側見てもコンケープの具合とかわからないですし・・・
加藤真 2006/12/14(Thu)13:35:34 編集
!!
究極の素材!
楽しみですね。
AVISOを超えるかもしれません。
先ほど仲間のRNFオーダー入れさせていただきました。
サイズ提案ありがとうございました。
markee. 2006/12/14(Thu)14:36:13 編集
和歌サイドビュー
得♪さん、
最高のコメントありがとうございます。
和歌が詠めて、そこから始まり、最後は偶然そこで終わったという古典的なブンガクとなりました。

加藤真さん、
はじめてのコメントですか?
ありがとうございました。
そうですね。
見せ方はこの平面上の永遠の課題だと思います。
理想を考えると、横も斜めもすべて掲載したいです。
ふなき 2006/12/14(Thu)15:27:33 編集
!?
markee.さん、
ジャストフォームではAVISOは越えられません。
あっちはかなりすごいです。
夢はAVISOをこのようにカスタムシェイプできるようになることです。
ふなき 2006/12/14(Thu)15:28:52 編集
う~ん!
湘南の小波の時に使ってみたいです。
オーダー中のZENもまだなのに・・AVISO FFもほしいし困ったもんです。
昨年の5月から毎日ブログチェックしていますが、昔し~昔しNAKIさんとは鎌倉の波が良い時に
よく同じ時間を過ごした事もあるんですよ!
そんなNAKIさんからボードを買う事になるとは・・・何かの縁ですねかね!
歳がばれますね!ちなみに私は1964年生まれです。
TAKEO 2006/12/14(Thu)21:13:00 編集
さてどちらが?
5'5"BATFISHで頭半 うき世のうさを知るよしもなし ってどんな板なのですか? 
勝負の行方は・・・? 書くのか書かないのか・・・? 
じーじ 2006/12/15(Fri)00:29:50 編集
偶然すごい人と一緒になってしまった、という意味です
TAKEOさん、
そうだったのですか!
いやあありがとうございます。
では土井さんもご存じですか?
もりたん、三浦さん、ジョジゲさん、杉さん、太郎さん、さいこさん、きんちゃんとみんなの顔が浮かんできました。
次回3月頃に行くので海でお会いしましょう。
ありがとうございます。

じーじさん、
そうなのですよ。
あまりにも幸せでそんな競争に巻き込んではいけない、俗な世界には足を踏みいれさせるのは無用と思い、和歌となったのです。

思ひきや
富士の高嶺に
一夜寝て

雲の上なる
月をみんとは

こんな気分です。
ふなき 2006/12/15(Fri)08:18:07 編集
このインプレ上手!!
相変わらずnakiさんのインプレッションはそそられますね。「オートマチックに約2.5cmテイル側を踏むこととなり」のあたりはアンダースタンドした後にうなりましたよ。シムラーすげー。
Z-3リサーチ社(有)独自の調査によると、このインプレッションを読んだ小学生50人のうち約8割がクリスマスプレゼントをNintendo DSからBAT-FISHに変えたというから驚きです。
それを受けてヤンキースでは2007シーズンのバックネット下の広告を『NAKI SURF』に、「ジョニーデーモン」は「スピードデーモン」に「Hideki Matsui」は「TATAKI Matui」に、一方マリナーズ在籍の日本が誇る『バットマン』イチローもグリップエンドをバットマンシェイプにしてオートマチックに1インチアウトコースに踏み込めるようにするなどMLBにも影響を与えているそうです。

毎回浅〜い野球ネタですいません。

ボード写真ですが、VONZIPPERのHPように360°ビューアーなんかできたらイイと思います。
z33 2006/12/15(Fri)22:35:33 編集
岩城
z33さん、
すばらしい野球ネタをありがとうございます。
おおー小学生がDSからバットフィッシュとは!
これもうれしいです。
コロコロコミックの付録で実物大バットフィッシュという企画も届いています。
ダイス-Kさんついにボストンに決まりましたね。
あの浮き上がるストレートと、カクンと沈むチェンジアップ。
そしてドカベンプロ野球編でもおなじみの高速スライダーを武器にペドロ・マルチネス再来とばかりに老ドン・ジマーを投げ飛ばしてほしいです。
なお、このオフにはシリングは日本語を覚えにキンチャン宅に来るそうですので、そうしたら一緒に七里のフリマに行きましょう。T35さんも誘って。
360ビューいいアイディアですね。
ボードを立てて回せる台があれば実現できます。
ふなき 2006/12/16(Sat)06:49:56 編集
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名前:Naki 2009 または船木三秀
HP:NAKISURF
性別:男性
職業:専門職
趣味:海
自己紹介:
 11年暮らしたカリフォルニアからノースハワイ島に住みかえ、毎日クオリティの高い波で波乗りをしています。

 私は波乗り殉教者で、肩書きはプロサーファー、写真家、画家、ルポライター、デザイナーです。

 風が創ったさざ波が合わさり、遠くの洋(うみ)から陽の下、夜の中を駈けてきたうねりに乗る、というような気持ちで波に接している。
 その欲求と探求心は飽くことがないようで、小さい頃からの夢であった世界の海を旅し、自分なりのアウトプットを続けています。

 波を知ることは海を知ること。その深遠無限のインスピレーションを感じ、ゆらゆらと絡まった日々をこのブログで綴れたらなあ、と。

 そんな波乗りの奥深さ、その意識や感覚を文章、写真、絵で表現できたらと思っています。

 同業の方、同じ夢の方、海が好きな方、波乗りを愛する方、この場でお話しましょう。

 ありきたりの道具論に留まらないメッセージをみなさまと創ってみたいのです。

 また、カリフォルニア州、サンクレメンテ発のサーフショップ『NAKISURF.COM』も運営しております。

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